浅野直樹の学習日記

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平成26年司法試験予備試験論文(刑法)答案練習

問題

以下の事例に基づき,甲及び乙の罪責について論じなさい(特別法違反の点を除く。)。

1 甲(28歳,男性,身長178センチメートル,体重82キログラム)は,V(68歳,男性,身長160センチメートル,体重53キログラム)が密輸入された仏像を密かに所有していることを知り,Vから,売買を装いつつ,代金を支払わずにこれを入手しようと考えた。具体的には,甲は,代金を支払う前に鑑定が必要であると言ってVから仏像の引渡しを受け,これを別の者に託して持ち去らせ,その後,自身は隙を見て逃走して代金の支払を免れようと計画した。
 甲は,偽名を使って自分の身元が明らかにならないようにして,Vとの間で代金や仏像の受渡しの日時・場所を決めるための交渉をし,その結果,仏像の代金は2000万円と決まり,某日,ホテルの一室で受渡しを行うこととなった。甲は,仏像の持ち去り役として後輩の乙を誘ったが,乙には,「ホテルで人から仏像を預かることになっているが,自分にはほかに用事があるから,仏像をホテルから持ち帰ってしばらく自宅に保管しておいてくれ。」とのみ伝えて上記計画は伝えず,乙も,上記計画を知らないまま,甲の依頼に応じることとした。
2 受渡し当日,Vは,一人で受渡し場所であるホテルの一室に行き,一方,甲も,乙を連れて同ホテルに向かい,乙を室外に待たせ,甲一人でVの待つ室内に入った。甲は,Vに対し,「金は持ってきたが,近くの喫茶店で鑑定人が待っているので,まず仏像を鑑定させてくれ。本物と確認できたら鑑定人から連絡が入るので,ここにある金を渡す。」と言い,2000万円が入っているように見せ掛けたアタッシュケースを示して仏像の引渡しを求めた。Vは,代金が準備されているのであれば,先に仏像を引き渡しても代金を受け取り損ねることはないだろうと考え,仏像を甲に引き渡した。甲は,待機していた乙を室内に招き入れ,「これを頼む。」と言って,仏像を手渡したところ,乙は,準備していた風呂敷で仏像を包み,甲からの指示どおり,これを持ってそのままホテルを出て,タクシーに乗って自宅に帰った。乙がタクシーで立ち去った後,甲は,代金を支払わないまま同室から逃走しようとしたが,Vは,その意図を見破り,同室出入口ドア前に立ちはだかって,甲の逃走を阻んだ。
3 Vは,甲が逃げないように,護身用に持ち歩いていたナイフ(刃体の長さ約15センチメートル)の刃先を甲の首元に突き付け,さらに,甲に命じてアタッシュケースを開けさせたが,中に現金はほとんど入っていなかった。Vは,甲から仏像を取り返し,又は代金を支払わせようとして,その首元にナイフを突き付けたまま,「仏像を返すか,すぐに金を準備して払え。言うことを聞かないと痛い目に合うぞ。」と言った。また,Vは,甲の身元を確認しようと考え,「お前の免許証か何かを見せろ。」と言った。
4 甲は,このままではナイフで刺される危険があり,また,Vに自動車運転免許証を見られると,身元が知られて仏像の返還や代金の支払を免れることができなくなると考えた。そこで,甲は,Vからナイフを奪い取ってVを殺害して,自分の身を守るとともに,仏像の返還や代金の支払を免れることを意図し,隙を狙ってVからナイフを奪い取り,ナイフを取り返そうとして甲につかみ掛かってきたVの腹部を,殺意をもって,ナイフで1回突き刺し,Vに重傷を負わせた。甲は,すぐに逃走したが,部屋から逃げていく甲の姿を見て不審に思ったホテルの従業員が,Vが血を流して倒れているのに気付いて119番通報をした。Vは,直ちに病院に搬送され,一命を取り留めた。
5 甲は,身を隠すため,その日のうちに国外に逃亡した。乙は,持ち帰った仏像を自宅に保管したまま,甲からの指示を待った。その後,乙は,甲から電話で,上記一連の事情を全て打ち明けられ,引き続き仏像の保管を依頼された。乙は,先輩である甲からの依頼であるのでやむを得ないと思い,そのまま仏像の保管を続けた。しかし,乙は,その電話から2週間後,金に困っていたことから,甲に無断で仏像を500万円で第三者に売却し,その代金を自己の用途に費消した。

 

練習答案(実際の試験での再現答案)

(F評価)

以下刑法についてはその条数のみを示す。

[甲の罪責]

1.詐欺罪(第246条第1項)
 甲は2000万円が入っているように見せ掛けたアタッシュケースを示しつつ仏像の鑑定をすると言ってVを欺き、その結果Vは錯誤に陥って本件仏像を甲に交付したので、詐欺罪(第246条第1項)の構成要件を満たす。Vは本件仏像の所有権を甲に移すまでの意思はなかったが、その占有を移す意思はあったので、交付したと言える。違法性阻却事由や責任能力に欠けるという事情はない。

2.強盗罪(第236条第2項)及び強盗致死傷罪(第240条)
 甲は仏像の返還や代金の支払を免れることを意図して、Vからナイフを奪い取り、それでVの腹部を突き刺して重傷を負わせた。これは反抗を抑圧するのに十分な暴行である。それにより仏像の返還又は代金の支払を免れるという財産上不法の利益を甲は得たので、強盗罪(第236条第2項)の構成要件を満たす。同時にVを負傷させているので、強盗致傷罪(第240条)の構成要件も満たす。
 しかしながら、甲に正当防衛(第36条第1項)が成立する余地がある。甲はVからナイフを首元に突き付けられたために、自分を守ろうとしてVからナイフを奪い取り、Vの腹部を突き刺した。Vは仏像の返還又は2000万円の支払を求めてナイフを甲に突き付けたのであるが、財産のために身体・生命を危険にさらしているので、不正の侵害である。甲はこのような事態を予測していなかったので急迫でもある。そして甲は自らの身体・生命という権利を防衛するためにやむを得ずナイフで刺した。周囲に人がいなかったので助けを求めることは困難であった。強盗の意図が併存していても正当防衛の成立を妨げない。ただし、これは防衛の程度を超えた行為である(第36条第2項)。例えばVの足を刺して動けなくするということでも防衛することはできた。よって過剰防衛なので、情状により、その刑を減刑し、又は免除することができる。責任能力の疑問を抱かせる事情はない。

 以上より、甲には詐欺罪と強盗罪・強盗致傷罪が成立する。しかしここで詐欺罪が保護しようとしている法益と強盗罪が保護しようとしている法益は、仏像又は2000万円の支払という同一のものであるので、詐欺罪は強盗罪に吸収される。同様に強盗罪は強盗致傷罪に吸収される。そしてそれが過剰防衛により任意的に刑の減免を受ける。

[乙の罪責]

1.盗品等保管罪(第256条第2項)
 乙は甲の財産に対する罪に当たる行為によって領得された仏像を受け取って運搬している。しかしこの時点で乙は本件仏像が財産に対する罪に当たる行為によって領得されたもの(以下盗品等とする)に当たるとは認識しておらず、故意がなかった。その後も甲から電話で一連の事情を全て打ち明けられるまでは本件仏像が盗品等であることを知らなかった。ただ、それからは盗品等であることを知りつつ仏像を保管している。これだけでも十分に財産に対する罪を助長しているので、盗品等保管罪の構成要件を満たす。先輩だからという理由だけは違法性が阻却されない。責任能力にも問題ない。

2.横領罪(第252条第1項)
 乙は、甲に無断で、仏像を500万円で第三者に売却し、その代金を自己の用途に費消した。自己の占有する他人の物を横領したことになるので単純横領罪(第252条第1項)の構成要件を満たす。本件仏像は甲が財産に対する罪に当たる行為によってVから得たものであるが、それでも一応は甲が占有していた物なので、横領になる。1と同様、違法性阻却事由や責任能力は問題とならない。

3.証拠隠滅罪(第104条)
 本件仏像は、甲という他人の刑事事件に関する証拠であり、乙はそれを第三者に売却することで隠滅しているので、証拠隠滅罪(第104条)の構成要件を満たす。

 以上より、乙には盗品等保管罪、横領罪、証拠隠滅罪が成立し、それらは併合罪になる。甲との共犯は問題にならない。

以上

 

 

修正答案

以下刑法についてはその条数のみを示す。

 

第1 甲の罪責
1.詐欺罪(246条1項)
 本件仏像は密輸入されたものであるが、そのことから直ちに所有者・占有者の権利が否定されるというわけではないので、詐欺罪で保護される客体に当たる。
 甲は本件仏像の代金として2000万円を支払う意思はないのにVに対してそれがあるように見せかけたので、Vを欺いている。そしてVは代金の支払があるものと誤信して本件仏像を甲に交付した。この時点で本件仏像の占有が甲に移転し、詐欺罪(246条1項)は既遂に達する。
2.強盗殺人未遂罪(240条、243条)
 Vは甲に対して本件仏像の代金の支払又は仏像の返還を求める権利を有している。甲はVから奪い取ったナイフをVの腹部に突き刺すことでVの反抗を抑圧し、前述のVの甲に対する権利を行使できないようにさせて、財産上不法の利益を得た。よってこの時点で少くとも強盗罪(236条2項)の構成要件を満たす。さらに、甲はVを殺害しようとして上記の行為をしたが、V死亡という結果は発生しなかったので、強盗殺人罪(240条)の未遂(243条)の構成要件を満たす。強盗殺人罪の既遂・未遂は、同罪が主として保護している生命侵害の既遂・未遂を基準として判断するのが適切である。
 甲は自分の身を守るために上記の行為をしたので、正当防衛(36条1項)の成立が問題となる。Vが突然刃体の長さ約15センチメートルのナイフを甲の首元に突き付けて言うことを聞かなければ痛い目を見るぞと言ったことは、急迫不正の侵害である。Vとしては代金か仏像のどちらかを取り返そうとしてそのような行為に及んだのであるが、財産的損害に対して生命侵害の危険を作り出しているので、不正の侵害であると言える。甲は自らの生命・身体を守るためにナイフを奪い取ってVの腹部を刺したので、自己の権利を防衛するためであったと言える。強盗の意図が併存していても正当防衛の成立を妨げない。しかし体格で勝る甲が自らの生命・身体を守るためにはVからナイフを取り上げるだけで十分であり、腹部を刺すことはやむを得ずした行為であるとは言えない。よって甲には正当防衛(36条1項)は成立せず、過剰防衛(36条2項)が成立するにとどまる。
 以上より、甲には強盗殺人未遂罪が成立する。
3.結論
 甲には詐欺罪と強盗殺人未遂罪が成立するが、これらは同じ本件仏像またはその代金という財物に対する罪なので、より重い強盗殺人未遂罪だけを評価すれば足りる(詐欺罪は吸収される)。そしてその刑は過剰防衛により任意的減免の余地がある。
第2 乙の罪責
1.詐欺罪(246条1項)及び強盗殺人罪(240条)
 乙が上で検討した甲の詐欺罪及び強盗殺人未遂罪の共犯となることはない。乙には甲との共謀も幇助の故意も見られないからである。
2.盗品等保管罪(256条2項)
 本件仏像は甲の詐欺罪によって領得されたものである。乙はそれを保管したので盗品等保管罪(256条2項)が成立する。乙は甲から一連の事情を電話で打ち明けられるまでは本件仏像が詐欺罪によって領得されたものだと知らなかったので故意がなかったが、その事情を知ってからは故意に仏像を保管し続けたのである。盗品等保管罪は継続犯であり仏像という財物への侵害は続いているので(事情を知ってから警察に届けるなどして財物の返還を容易にすることはできるので)、事情を知ってから保管を始めた場合と、保管を始めてから事情を知った場合とを区別して後者を不可罰とする理由はない。
3.横領罪(252条1項)
 本件仏像は、甲に所有権が帰属するかはともかく、甲が占有したものであって、乙はその保管を甲から委託された。その仏像を甲に無断で売却して不法に領得したので、乙には横領罪(252条1項)が成立する。
4.結論
 以上より、乙には盗品等保管罪と横領罪が成立し、これらは併合罪(45条)になる。

 

再修正答案

【2015年6月5日追記。通りすがり様のコメントを受けて再修正してみました。】

以下刑法についてはその条数のみを示す。

第1 甲の罪責
1.詐欺罪(246条1項)
 詐欺罪(246条1項)の構成要件は「人を欺いて財物を交付させた」ことである。財産に対する罪の特性として、「不法領得の意思」と「財産的損害」も書かれざる構成要件となる。
 本件仏像は密輸入されたものであるが、そのことから直ちに所有者・占有者の権利が否定されるというわけではないので、詐欺罪で保護される財物に当たる。甲はその仏像の引き渡しを、2000万円が入っているように見せ掛けたアタッシュケースを示しながら求めた。これにより、Vは代金が準備されているのであれば先に仏像を引き渡しても代金を受け取り損ねることはないだろうと誤信し、本件仏像を甲に交付した。甲はその仏像を自己が支配し利用または処分するつもりであったので、不法領得の意思に欠けるところはない。Vは仏像の代金債権を獲得するとはいえ、その回収は非常な困難が予想されるので、財産的損害が発生していると言える。以上より、甲はVを欺いて仏像という財物を交付させたことになるので、この時点で詐欺罪は既遂に達する。
2.強盗殺人未遂罪(240条、243条)
 強盗殺人罪(240条)の構成要件は「強盗が殺意をもって人を死亡させた」ことである。同罪は未遂も罰する(243条)が、その既遂・未遂は、同罪が主として保護している生命侵害の既遂・未遂を基準として判断するのが適切である。
 「暴行又は脅迫を用いて、財産上不法の利益を得」た者は強盗である(236条2項)。Vは甲に対して本件仏像の代金の支払又は仏像の返還を求める権利を有している。甲は、Vから奪い取ったナイフをVの腹部に1回突き刺すことで重傷を負わせ、自分はすぐに逃走した。甲はこのようにしてVの反抗を抑圧し、前述のVの甲に対する権利を行使できないようにさせて、財産上不法の利益を得た。よってこの時点で少くとも強盗罪(236条2項)の構成要件を満たし、強盗となる。甲はVを殺害しようとして上記の行為をしたが、Vは死亡しなかた。以上より甲には強盗殺人未遂罪が成立する。
 甲は自分の身を守るために上記の行為をしたので、「急迫不正の侵害に対して、自己の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為」である正当防衛(36条1項)の成立が問題となる。Vが突然刃体の長さ約15センチメートルのナイフを甲の首元に突き付けて言うことを聞かなければ痛い目を見るぞと言ったことは、急迫不正の侵害である。Vとしては代金か仏像のどちらかを取り返そうとしてそのような行為に及んだのであるが、財産的損害に対して生命侵害の危険を作り出しているので、不正の侵害であると言える。甲は自らの生命・身体を守るためにナイフを奪い取ってVの腹部を刺したので、自己の権利を防衛するためであったと言える。強盗の意図が併存していても正当防衛の成立を妨げない。しかし体格で勝る甲が自らの生命・身体を守るためにはVからナイフを取り上げるだけで十分であり、腹部を刺すことはやむを得ずした行為であるとは言えない。よって甲には正当防衛(36条1項)は成立せず、過剰防衛(36条2項)が成立するにとどまる。
 以上より、甲には強盗殺人未遂罪が成立する。
3.結論
 甲には詐欺罪と強盗殺人未遂罪が成立するが、これらは同じ本件仏像またはその代金という財物に対する罪なので、より重い強盗殺人未遂罪だけを評価すれば足りる(詐欺罪は吸収される)。そしてその刑は過剰防衛により任意的減免の余地がある。
第2 乙の罪責
1.詐欺罪(246条1項)及び強盗殺人罪(240条)
 乙が上で検討した甲の詐欺罪及び強盗殺人未遂罪の共犯となることはない。乙には甲との共謀も幇助の故意も見られないからである。
2.盗品等保管罪(256条2項)
 盗品等保管罪(256条2項)の構成要件は「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を保管した」ことである。
 本件仏像は甲の詐欺罪によって領得されたものであり、乙はそれを保管したので盗品等保管罪が成立する。乙は甲から一連の事情を電話で打ち明けられるまでは本件仏像が詐欺罪によって領得されたものだと知らなかったので故意がなかったが、その事情を知ってからは故意に仏像を保管し続けたのである。盗品等保管罪は継続犯であり仏像という財物への侵害は続いているので(事情を知ってから警察に届けるなどして財物の返還を容易にすることはできるので)、事情を知ってから保管を始めた場合と、保管を始めてから事情を知った場合とを区別して後者を不可罰とする理由はない。
3.横領罪(252条1項)
 横領罪(252条1項)の構成要件は「自己の占有する他人の物を横領した」ことである。
 本件仏像は、甲に所有権が帰属するかはともかく、甲が占有したものであって、乙は甲から委託されてそれを保管しているので、自己の占有する他人の物に該当する。その仏像を甲に無断で売却して不法に領得したので、横領したと言える。以上より、乙には横領罪が成立する。
4.結論
 以上より、乙には盗品等保管罪と横領罪が成立し、これらは併合罪(45条)になる。

 

感想

本番での答案でもそれなりにがんばっていたのにF評価というのがショックでした。詐欺罪の交付と強盗殺人未遂罪の罪名を出せなかったのが致命的だったのでしょうか。

 



平成26年司法試験予備試験論文(行政法)答案練習

問題

 A県は,漁港漁場整備法(以下「法」という。)に基づき,漁港管理者としてB漁港を管理している。B漁港の一部には公共空地(以下「本件公共空地」という。)があり,Cは,A県の執行機関であるA県知事から,本件公共空地の一部(以下「本件敷地」という。)につき,1981年8月1日から2014年7月31日までの期間,3年ごとに法第39条第1項による占用許可(以下「占用許可」とは,同法による占用許可をいう。)を受けてきた。そして,1982年に本件敷地に建物を建築し,現在に至るまでその建物で飲食店を経営している。同飲食店は,本件公共空地の近くにあった魚市場の関係者によって利用されていたが,同魚市場は徐々に縮小され,2012年には廃止されて,関係施設も含め完全に撤去されるに至った。現在Cは,観光客などの一般利用者をターゲットとして飲食店の営業を継続し,2013年には,客層の変化に対応するために店内の内装工事を行っている。他方,A県知事は,魚市場の廃止に伴って,観光客を誘引するために,B漁港その他の県内漁港からの水産物の直売所を本件敷地を含む土地に建設する事業(以下「本件事業」という。)の構想を,2014年の初めに取りまとめた。なお,本件事業は,法第1条にいう漁港漁場整備事業にも,法第39条第2項にいう特定漁港漁場整備事業にも,該当するものではない。
 Cは,これまで受けてきた占用許可に引き続き,2014年8月1日からも占用許可を受けるために,本件敷地の占用許可の申請をした。しかし,A県知事は,Cに対する占用許可が本件事業の妨げになることに鑑みて,2014年7月10日付けで占用不許可処分(以下「本件不許可処分」という。)をした。Cは,「Cは長期間継続して占用許可を受けてきたので,本件不許可処分は占用許可を撤回する処分と理解すべきである。」という法律論を主張している。A県側は,「法第39条第1項による占用許可をするか否かについて,同条第2項に従って判断すべき場合は,法第1条の定める法の目的を促進する占用に限定されると解釈すべきである。Cによる本件敷地の占用は,法第1条の定める法の目的を促進するものではないので,Cに対し本件敷地の占用許可をするかどうかについては,その実質に照らし,地方自治法第238条の4第7項が行政財産の使用許可について定める基準に従って判断するべきである。」という法律論を主張している。なお,B漁港は,A県の行政財産である。
 A県の職員から,Cがなぜ上記のような法律論を主張しているのか,及び,A県側の法律論は認められるかについて,質問を受けた弁護士Dの立場に立って,以下の設問に解答しなさい。なお,法の抜粋を資料として掲げるので,適宜参照しなさい。

〔設問1〕
 本件不許可処分を,占用許可申請を拒否する処分と理解する法律論と,占用許可の撤回処分と理解する法律論とを比べると,後者の法律論は,Cにとってどのような利点があるために,Cが主張していると考えられるか。行政手続法及び行政事件訴訟法の規定も考慮して答えなさい。

〔設問2〕
(1) Cによる本件敷地の占用を許可するか否かについて,法第39条第2項に従って判断する法律論と,A県側が主張するように,地方自治法第238条の4第7項の定める基準に従って判断する法律論とを比べると,後者の法律論は,A県側にとってどのような利点があるか。両方の規定の文言及び趣旨を比較して答えなさい。
(2) 本件において,A県側の上記の法律論は認められるか,検討しなさい。

【資料】漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)(抜粋)

(目的)
第1条 この法律は,水産業の健全な発展及びこれによる水産物の供給の安定を図るため,環境との調和に配慮しつつ,漁港漁場整備事業を総合的かつ計画的に推進し,及び漁港の維持管理を適正にし,もつて国民生活の安定及び国民経済の発展に寄与し,あわせて豊かで住みよい漁村の振興に資することを目的とする。
(漁港の保全)
第39条 漁港の区域内の水域又は公共空地において,(中略)土地の一部の占用(中略)をしようとする者は,漁港管理者の許可を受けなければならない。(以下略)
2 漁港管理者は,前項の許可の申請に係る行為が特定漁港漁場整備事業の施行又は漁港の利用を著しく阻害し,その他漁港の保全に著しく支障を与えるものでない限り,同項の許可をしなければならない。
3~8 (略)

 

練習答案(実際の試験での再現答案)

(F評価)

[設問1]

1.占用許可申請を拒否する処分と理解する法律論
 この法律論では、行政手続法第2条で定義されるところの、「申請」を拒否する「処分」と解される。Cが本件敷地を継続利用するためには、その処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法第3条第2項)だけでは足りず、申請許可処分の義務付けの訴え(行政事件訴訟法第3条第6項)も提起しなければならない。そしてこの義務付けの訴えは申請型(行政事件訴訟法第3条第6項第2号)なので、取消訴訟と併合提起しなければならない(行政事件訴訟法第37条の3第3項第2号)。

2.占用許可の撤回処分と理解する法律論
 この法律論では、行政手続法第2条で定義される「不利益処分」に該当する。占用許可という権利について、Cを名あて人としてその権利を制限しているからである。そうなると本件敷地を継続利用するというCの目的からは、その不利益処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法第3条第2項)を提起することになる。

 以上より、義務付け訴訟を提起せずに取消訴訟だけで足りるという点で、後者の法律論はCにとって利点がある。また、Cの目的を素早く満たすためには、前者では仮の義務付けが必要になるのに対し、後者では執行停止でよい。そして占用許可申請を拒否する理由と占用許可の撤回処分をする理由とでは、後者のほうがせまいので、その点でもCにとって利点がある。

[設問2]

(1)
 端的に言うと、法第39条第2項に従って判断する法律論は原則許可例外拒否であり、地方自治法第238条の4第7項の定める基準に従って判断する法律論は原則拒否例外許可である。前者では拒否する理由をA県側が立証しなければならないのに対し、後者では立証しなくてよい。それぞれの文言からそのように解釈できる。そしてそれは水産業の発展などを目的とした漁港漁場整備法の趣旨と、地方公共団体の大綱的な規定という地方自治法の趣旨の違いに由来している。

(2)
 本件において、A県側の上記の法律論は認められないと私は考える。
 というのも、漁港漁場整備法と地方自治法は特別法と一般法の関係にあり、特別法が優先されるからである。漁港漁場整備法の趣旨からしてもそうである。
 また仮に地方自治法の基準に従って判断する法律論に立つとしても、必ずしもA県側の主張が認められるとは限らない。本件では30年以上にも渡ってCは本件敷地を利用してきたのであり、その間に建物を建築したり、店内の内装工事を行ったりしている。少なくとも2013年に行われた内装工事の費用を回収できるまでは、Cが本件敷地を継続利用できるべきであると私は考える。

以上

 

 

修正答案

[設問1]
第1 処分が適法とされる条件
 占用許可申請を拒否する処分と理解する法律論(以下「法律論①」とする)では、申請を拒否する要件が備わっていればその処分が適法とされるが、占用許可の撤回処分と理解する法律論(以下「法律論②」とする)では、相手方(C)の信頼保護も考慮しなければならないので、一般的に、申請を拒否するための要件よりも厳しい要件が課される。処分が適法とされる条件が厳しくなるという点でCに利点がある。
第2 聴聞の必要性(行政手続法(以下「行手法」とする)13条1項1号イ)
 法律論②では不利益処分になる(行手法2条4号柱書)ので聴聞の手続が必要となる(行手法13条1項1号イ)が、法律論①では不利益処分にならない(行手法2条4号ロ)ので聴聞の必要はない。聴聞で処分を覆す機会が与えられるという点でCに利点がある。
第3 訴訟類型
 Cが本件敷地での飲食店経営を続けるためには、法律論①では処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法(以下「行訴法」とする)3条2項)と申請型の義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)とを併合提起しなければならないのに対し、法律論②では処分の取消しの訴え(行訴法3条2項)のみで足りる。義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる(行訴法37条の2第1項)とされている点で訴訟要件が取消しの訴えよりも厳しいので、それを避けられるという点でCに利点がある。
 また、Cが迅速に救済を得るためには仮の救済も検討すべきである。法律論①では仮の義務付け(行訴法37条の5第1項)であり、法律論②では執行停止(行訴法25条2項)である。これらを申し立てるために必要とされる、避けようとする損害が、前者では「償うことのできない損害」であるのに対し、後者では「重大な損害」であって、比較的軽くても済むという点でCに利点がある。Cが飲食店の経営をすることができずに経済的な損害を被ることが予想される場合では、事後的に金銭賠償をすることができるので償うことのできない損害であるとは言えないが、重大な損害であるとは言えると判断される可能性がある。さらに、前者では本案について理由があると見えることをCが主張しなければならない(行訴法37条の5第1項、積極要件)のに対し、後者では主張しなくてもよい(行訴法25条4項、消極要件)という点でもCに利点がある。

 

[設問2]
(1)
 法第39条第2項に従って判断する法律論(以下「法律論③」とする)では、Cによる占有が「特定漁港漁場整備事業の施行又は漁港の利用を著しく阻害し、その他漁港の保全に著しく支障を与えるものでない限り、許可をしなければならない」という文言に従って、そこに規定された阻害や支障がない限りA県が許可をしなければならないのに対し、地方自治法第238条の4第7項の定める基準に従って判断する法律論(以下「法律論④」とする)では、「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」という文言からしてA県は許可をしなくてもよい。このように法律論④は許可をしないという裁量が与えられるという点でA県に利点がある。
 一般的には、行政財産の目的外使用を認めるかどうかには行政庁の裁量が認められるので、法律論④はそのことを述べた一般的な規定である。漁港の区域内の水域又は公共空地について特別に、水産業の健全な発展や漁村の振興などという目的のために行政財産であっても有効に活用してもらおうという趣旨で、法律論③が依拠するような行政庁の裁量を制限し原則許可をするという規定になっているのである。
(2)
 上で述べたように、法律論④が原則(一般法)で、法律論③が特別の規定(特別法)である。よってその特別の規定を当てはめるべき場合は法律論③を、そうでない場合は法律論④に則るべきである。
 法律論③の依拠する法の趣旨は、上でも述べたように、水産業の健全な発展や漁村の振興などを図ることである。本件敷地上のCが経営する飲食店は、1982年の建築時は魚市場の関係者が利用するなど水産業の健全な発展に寄与していたが、魚市場の縮小に伴いその寄与も小さくなっていき、ついには2012年の魚市場の廃止で一般客をターゲットにすることが明確になった。こうした経過があった2014年現在では、本件敷地が形式的に漁港内にあるとは言えても、実質的に水産業の発展や漁村の振興などに奉仕しているという事情は見られないので、法律論③が依拠する法が適用されるべきではない。よって一般原則の法律論④に拠るべきなので、A県側の主張が認められる。

以上

 

感想

[設問1]はきちんと条文を示して触れるべき点に触れるのがポイントでしょう。[設問2]はどう記述してよいか悩みますが、本文中の事情を拾って当てはめることが期待されているのでしょう。[設問2]ではA県側の主張が認められるが、[設問1]では占用許可の撤回処分と理解する法律論に立って、Cの信頼、特にリニューアルの内装工事をしている点などを考慮すべきだというのが私の意見です。



平成26年司法試験予備試験論文(憲法)答案練習

問題

 A市内の全ての商店街には,当該商店街に店舗を営む個人又は法人を会員とする商店会が組織されている。会員は,店舗の大きさや売上高の多寡にかかわらず定額の会費を毎月納入し,その会費で,防犯灯の役目を果たしている街路灯や商店街のネオンサイン等の設置・管理費用,商店街のイベント費用,清掃美化活動費用などを賄っていた。しかし,A市内に古くからある商店街の多くが,いわゆるシャッター通りと化してしまい,商店街の活動が不活発となっているだけでなく,商店街の街路灯等の管理にも支障が生じており,防犯面でも問題が起きている。
 A市内には,大型店やチェーン店もある。それらの多くは,商店街を通り抜けた道路沿いにある。それらの大型店やチェーン店は,商店街の街路灯やネオンサイン等によって立地上の恩恵を受けているにもかかわらず,それらの設置や管理等に掛かる費用を負担していない。また,大型店やチェーン店は,商店街のイベントに参加しないものの,同時期にセールを行うことで集客増を図るなどしている。大型店やチェーン店は,営業成績が悪化しているわけでもないし,商店会に加入しなくても営業に支障がない。それゆえ,多くの大型店やチェーン店は,商店街の活性化活動に非協力的である。このような大型店やチェーン店に対して,全ての商店会から,商店街がもたらす利便に「タダ乗り」しているとする批判が寄せられている。A市にとって,市内全体での商業活動を活性化するためにも,古くからある商店街の活性化が喫緊の課題となっている。
 このような状況に鑑みて,A市は,大型店やチェーン店を含む全てのA市内の店舗に対し,最寄りの商店会への加入を義務付ける「A市商店街活性化条例」(以下「本条例」という。)を制定した。本条例の目的は大きく分けて二つある。第一の目的は,共同でイベントを開催するなど大型店やチェーン店を含む全ての店舗が協力することによって集客力を向上させ,商店街及び市内全体での商業活動を活性化することである。第二の目的は,大型店やチェーン店をも含めた商店会を,地域における防犯体制等の担い手として位置付けることである。
 本条例は,商店会に納入すべき毎月の会費を,売場面積と売上高に一定の率を乗じて算出される金額と定めている。そして,本条例によれば,A市長は,加入義務に違反する者が営む店舗に対して,最長で7日間の営業停止を命ずることができる。
 A市内で最も広い売場面積を有し,最も売上高が大きい大型店Bの場合,加入するものとされている商店会に毎月納入しなければならない会費の額が,その商店会の会員が納入する平均的な金額の約50倍となる。そこで,大型店Bを営むC社としては,このような加入義務は憲法に違反していると考え,当該商店会に加入しなかったために,A市長から,7日間の営業停止処分を受けた。その結果,大型店Bの収益は大幅に減少した。
 C社は,A市を被告として,本条例が違憲であると主張して,国家賠償請求訴訟を提起した。

〔設問1〕
 あなたがC社の訴訟代理人であるとしたら,どのような憲法上の主張を行うか。
 なお,本条例による会費の算出方法の当否及び営業停止処分の日数の相当性については,論じなくてよい。

〔設問2〕
 想定される被告側の反論を簡潔に述べた上で,あなた自身の見解を述べなさい。

 

練習答案(実際の試験での再現答案)

(F評価)

以下日本国憲法についてはその条数のみを示す。

[設問1]

1.国家賠償請求(第17条)
 C社は、以下に述べる理由で憲法違反である条例によって、7日間の営業停止処分を受け、自らの経営する大型店Bの収益が大幅に減少した。これは公務員の不法行為により、損害を受けたことになるので、地方公共団体であるA市に国家賠償を請求することができる。

2.財産権の侵害(第27条第1項)
 C社は、本条例により、商店会への加入が義務付けられ、その結果会費の納入義務を負わされている。これはC社の財産権を実質的に侵害するものである。

3.職業選択の自由(第22条第1項)
 C社は大型店Bの営業を続けるためには商店会に加入し、会費を納入しなければならない。そして会費を納入しなければ営業停止処分を受ける。これは職業の自由、その中でも営業の自由の侵害である。

4.法人の人権享有主体性
 日本国憲法で保障される人権は可能な限り法人にも保障されるべきである。上で述べた財産権や職業選択の自由は法人にも問題なく認められるべき性質のものである。

[設問2]

1.想定される被告側の反論
 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように定められる(第29条第2項)のであり、職業選択の自由も公共の福祉に反しない限りで尊重される(第13条)。本条例の目的は地域の商業活動の活性化と防犯体制の強化という公共の福祉にかなうものなので、本条例は合憲である。
 また、仮に本条例が違法ではないまでも不当であったとしても、国家賠償を請求することはできない。

2.私自身の見解
 私は本条例が違憲であり、C社のA市に対する国家賠償請求が認容されると考える。
 本件の最大のポイントは財産権・職業選択の自由と公共の福祉との間のバランス調整である。C社が営む大型店Bが納入義務を負う会費の額は、その商店会の会員が納入する平均的な金額の約50倍にもなる。これを納入しなければならないとなると、C社は大型店Bの営業を続けられなくなるかもしれない。しかも、C社は必要な設備投資などを行って大型店Bを営業しているという事情もある。それに対し、被告側の主張する公共の福祉の内実は怪しい。地域の商業活動の活性化という目的の経済政策には一定の幅が認められるものの、イベントの共催などで本当にその目的が達成されるかは疑わしい。防犯体制の強化という警察的な目的は、それこそ警察などの行政によって担われるべきものであるので、その目的を達成できるかどうかが不明であることはもちろん、そもそもこれを目的とすることが適切でないと考えられる。
 他方でC社が納入義務を負わされる会費の額は相当なものであり、C社にとっては租税のように感じられるであろう。租税を課すには法律によることが必要である(第84条)からしても、法律ではなく条例であるという形式面でも本条例は違憲であると言える。
 このように本条例が違憲であるなら、それは不当にとどまらず違法であり、C社はA市に対して国家賠償請求をすることができる。

以上

 

 

修正答案

以下日本国憲法についてはその条数のみを示す。

 

[設問1]
第1 概要
 私がC社の訴訟代理人であるとしたら、本条例及びそれに基づく7日間の営業停止処分が、C社の営業の自由を侵害し消極的結社の自由も侵害しているために違憲であるので、A市はC社が被った損害を賠償するために所定の金銭を支払わなければならないという主張をする。
第2 営業の自由の侵害(22条1項)
 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する(22条1項)。職業選択の自由の保障を実効的なものにするためには、実際に営業を行う自由も保障されなければならない。C社は法人であって自然人ではないが、営業のかなりの部分が法人によって担われることは日本国憲法で当然に想定されているので、営業の自由は法人にも保障される。
 本条例は、直接的にC社の営業を禁止しているわけではないけれども、会費として多大な金銭納付義務をC社に負わすことでその営業を制約し、さらには営業停止処分も規定され、実際にC社に適用された。C社の営業の自由が侵害されたことは疑い得ない。
 もっとも、営業の自由は「公共の福祉に反しない限り」という留保が付されていることからも窺えるように、絶対無制約に保障されるものではなく、他の人権との調整など合理的な理由によって制約され得る。しかしながら、本条例及びそれに基づく7日間の営業停止処分にはそうした合理性が見られないので、違憲である。
第3 消極的結社の自由の侵害(21条1項)
 「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」(21条1項)と規定されている。これは結社に入る自由を保障していると同時に結社に入らない自由をも保障していると解される。結社の自由は言論の自由など表現の自由とともに挙げられているところ、自らの望まない言論を強制されない自由は当然に保障されるのであるから、同様に自らの望まない結社への加入を強制されない自由も保障されるのである。
 それにもかかわらず、本条例によってC社は最寄りの商店会に加入することを義務付けられ、それが営業低処分という罰則で担保されている。これは結社に入らない自由という消極的結社の自由を侵害するものであり、違憲である。

 

[設問2]
第1 営業の自由について
 C社に営業の自由が認められ、それが合理的な制約に服するのは[設問1]に記載の通りである。そこで本条例は合理的な制約の範囲内であるという被告側の反論が想定される。
 本条例の目的は、商店街及び市内全体での商業活動を活性化することと、大型店やチェーン店をも含めた商店会を地域における防犯体制等の担い手として位置付けることの二つである。地域振興や地域防犯については、地方自治体が条例の制定も含めて大きな裁量を有している。よってA市という地方自治体がこのような目的で本条例を制定し、それを運用するのは合理的な範囲内であって、違憲ではないと被告側は反論することができる。
 被告側の主張するように本条例の目的が合理的であっても、そのための手段が合理的でなければ、違憲となる。規制目的を積極的な目的と消極的な目的とに分けて前者では緩やかな違憲審査がなされるという立場を取ろうとも、目的と手段とに合理的連関性がなければ違憲とされるし、そのように目的を二分しないという立場も有力である。
 本件では上記2つの目的のために、本条例はC社に最寄りの商店会に加入させて売場面積と売上高に比例した会費の納入義務を負わせている。まず、これによって商店街及び市内全体での商業活動が活性化するかどうかは大いに疑問である。自主的な創意工夫によって商業活動は活性化するのであって、上から押さえつけるような形で商業活動が活性化するとは考えづらい。次に地域防犯についてであるが、そもそも商店会は防犯を担当する組織ではないので、そこに防犯を期待するのが筋違いである。本条例で規定されている手段は上記2つの目的と合理的な連関性を有していない。
 以上より、私は本条例及びそれに基づく7日間の営業停止処分は、C社の営業の自由を侵害し違憲であると考える。
第2 消極的結社の自由について
 消極的結社の自由が認められるのは[設問1]記載の通りであるが、ある職業を営むために所定の団体に加入しなければならないということが必ずしも違憲となるわけではない。例えば弁護士業を営むためには弁護士会に加入しなければならないが、弁護士会に加入したからといって特定の思想を表明させられるわけではなく、また弁護士の信頼性を保つことなどのため弁護士会が機能しているので、違憲であるとはされていない。
 本件においても、商店会に加入させられたからといって特定の思想を表明させられたりすることはなく、またその地域で商売をするための自主ルールを作るといった働きが商店会にはあるので、商店会への強制加入が違憲となることはないという被告側の主張が想定される。特定の地域での商売にはある種の専門性が求められるという事情もあり、商店会への強制加入そのものは合憲であると私は考える。

以上

 

感想

改めて見返すと試験で書いた答案はひどいですね。F評価も当然です。修正答案ならそれなりの評価になるのではないでしょうか。しかし結社の自由という発想は思いつきづらいです。

 



高校数学無料教材(教科書・問題)リンク集

主に自分用のメモとして、高校数学の教科書(解説)や問題を見ることができるサイトのリンク集を作りました。

 

教科書(解説)系

フリー教材開発コミュニティ FTEXT
http://www.ftext.org/

無料教科書の草分けでしょうか。昔はPDFファイルをダウンロードできたので、今でも探せばどこかにあるかもしれません。

 

13th-note – 数学・算数の教材公開ページ
http://www.collegium.or.jp/~kutomi/index.php?13th-note

上で紹介したFTEXTの発展形で現在も更新され続けています。質が高いです。

 

KIT数学ナビゲーション
http://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/

こちらも老舗のサイトです。わからないことを検索したときに見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 

高校数学の基本書(デジタル教科書:PDF) – さくらの個別指導(さくら教育研究所)
http://blog.goo.ne.jp/skredu/e/e48b61185e236c863f55e4522fb7254e

シンプルに要点を押さえた教科書です。

 

EDuPA 高校数学標準講座
http://edupa.org/

動画がメインですが、スライドのようなPDFを見ることもできます。

 

受験の月
http://examoonist.web.fc2.com/index.html

塾や予備校のように入試問題を実践的に解くための解説をしてもらいたいならここです。

 

大学数学へのかけ橋!『高校数学+α:基礎と論理の物語』トップページ 
http://www.h6.dion.ne.jp/~hsbook_a/index.html

その名前の通り「+α」の読み物です。余力があればどうぞ。

 

問題系

高校数学の基本問題
http://www.geisya.or.jp/~mwm48961/koukou/index_m.htm

昔からあるサイトでありながら、最新の課程にも対応しています。中学数学もあります。

 

数学目次
https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/kosu/mathematics/math_index.html

基礎基本を繰り返し行うドリル形式の問題集です。

 

高校数学++【なんちな】++ 高校数学教材
http://naop.jp/

各分野の標準的な問題があります。

 

数学問題提供サイト(数樂)数学の問題集(受験数学) 
http://www.mathtext.info/

作者が入試問題を解いてアップされているようです。

 

高校数学教材-ikemath
http://www.geocities.jp/ikemath/index.html

補充プリントや面白小問集があります。

 

有名問題
http://www.osaka-c.ed.jp/shijonawate/html/zaikousei/yumeimondai..html

チャート式や教科書傍用問題集にあるような有名問題のセレクションです。

 

数学の散策路
http://members.jcom.home.ne.jp/sansakuro/

数学の頭を使う問題から雑学的な話までたくさんあります。

 

大学入試数学電子図書館
http://www.densu.jp/index.htm

大学別の過去問ならここが一番見やすいでしょう。

 

大学入試数学の問題
http://www.geocities.jp/mikiotaniguchi/math/index.html

分野別の大学入試過去問ならここですね。

 

最後になりましたが、このような素晴らしいサイトの製作者のみなさまに感謝の意を表したいです。



TOEICの学習記録

これまでにTOEICを3回受けた記録をつけておきます。

 

1回目(2001年)

大学に入ってすぐにお試しでTOEICを受けてみました。対策もせずに受験しました。正確な数字は忘れましたが、リスニング250点、リーディング300点の合計550点くらいでした。わかるところもあれば全くわからないところもあるといった感じでした。

 

2回目(2011年)

この10年間で相当英語の力がついただろうからそれを試してみようと2回目の受験をしました。

 

大学で英語の文献を読むこともあったので、リーディングの素材文は簡単だと思えるほどでした。文法は日々、自作のテキストを使って教えたり大学入試の過去問を解いたりしていたので、解説できるくらいの感触がありました。

 

他方でリスニングは日頃使う機会も教える機会もめったになかったので、何の対策もしていないに等しかったです。それでも使われる語彙はほぼ全部知っているので、それでそれなりに対応できました。

 

結果はリスニング355点、リーディング495点の合計850点でした。

toeic1

 

3回目(2015年)

前回の受験で課題はリスニングだとはっきりしたので、この間はリスニングを鍛えていました。ほとんど欠かさずNHKラジオの実践ビジネス英語を聞いてきましたし、その他のリスニング練習サイトもいくらかやりました。自分が中学生に提供する授業でも基礎英語を積極的に取り入れました。3年くらいそのような生活をすると、以前よりははっきりと聞き取れるようになった感触がありました。

 

リーディングや文法に関しては仕事で使うので、力が上がっていることはあっても下がっていることは考えづらいです。

 

その結果はというとリスニング440点、リーディング475点の合計915点です。リーディングは誤差の範囲内として、リスニングでもうひと伸びしないと満点は取れなさそうです。

toeic2

 

4回目(2018年追記)

満点を目指してリスニングを鍛えました。知人や本など複数の出所から学習用の音源を1.5倍速で繰り返し聞くとよいという情報を得たので、それを実践しました。TOECI公式問題集の1.5倍速を何度も聞くとともに、時々通常速度で問題を解きました。前回よりもできるようになったという手応えはありましたが、まだ満点は厳しそうです。リーディングはここまで来ると満点かどうかはほぼ運頼みです。

 

 




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