浅野直樹の学習日記

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宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第18章「行政計画」

1.意義

PDCAサイクル

 

2.行政計画の分類

地域による分類

対象行政部門による分類

期間による分類

計画体系による分類

機能による分類

法的効果による分類

法律の根拠による分類

 

3.行政計画の統制

(1) 計画策定手続

計画裁量が広範であり、実体的統制が困難なので、手続的統制が重要(しかし行政手続法に計画策定手続についての規定は置かれていない)

国土利用計画法における計画策定手続

計画策定手続に関する近時の動き…パブリック・インボルブメント

 

(2) 計画裁量の実体的統制

行政計画の司法審査…東京地判平成14.8.27など若干の例

 

4.行政計画の合理性

 

5.計画担保責任

計画の変更によって生じた損失の補償

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第17章「行政基準」

1.意義

法律と個別具体的な行政行為の中間に法律の定めを具体化した基準を行政機関が策定することが一般化

法規命令…行政機関が定める法規(国民一般の権利義務に関わる)

行政規則…行政機関が策定する一般的な規範(法規以外)

 

2.法規命令

(1) 法規命令が必要とされる理由

迅速・柔軟な対応

 

(2) 法規命令の特色

法律による授権が必要

委任命令と執行命令に分類して法律による授権が必要なのは委任命令のみだとする考え方がある

 

(3) 委任立法の限界

委任の合憲性(委任の方法)…白紙委任の禁止(最判昭和33.5.1ーー国家公務員の政治的行為)

ただし最判平成5.3.16ーー教科書検定などで、判例は違憲審査に謙抑的

再委任…安易に再委任を認めるべきではないが、軽微な事項についての再委任を違法とする必要はない

委任命令の適法性(委任の内容)…裁量の範囲を逸脱したとして違法だとされた判例(最判昭和46.1.20ーー農地法80条、最判平成3.7.9ーー監獄法45条1項、最判平成14.1.31ーー児童扶養手当法4条1項5号、最判平成21.11.18ーー公職選挙法89条1項など)

法規命令の形式…政令、内閣府令、省令、外局規則、人事院規則、地方自治体の長の定める規則など

授権法の廃止と委任命令の効力…失効すると解すべき

委任立法の手続的統制…制定申出権、国会による承認等、審議会等への諮問等、公聴会等の開催、パブリック・コメント、他の行政機関等の関与

 

3.行政規則

(1) 行政規則の根拠と形式

法律の授権を要しない

公示する必要があるものは告示の形式をとることが多い

 

(2) 行政規則の伝統的な類型

行政組織に関する定め

特別の関係における定め

解釈基準(通達)…国民や裁判所を拘束する外部効果はない

裁量基準…裁量基準の設定が要求される場合がある(最判昭和46.10.28ーー個人タクシー事件)→行政手続法

給付規則…補助金に関する要綱など

指導要綱(行政指導指針)…宅地開発等に際して行われる行政指導の指針、作成・公表の義務

 

(3) 行政規則概念の有用性

 

(4) 行政規則の外部化

行政組織に関する定めの外部効果…所掌事務外の者が行った行政作用の無効

特別の関係における定めの外部効果…退学処分への司法審査

解釈基準の外部効果…通達自体に対する取消訴訟を認めた例(東京地判昭和46.11.8ーー函数尺の計量法違反)

裁量基準の外部効果…公にされるので相手方の信頼保護の必要性

給付規則の外部効果…平等原則違反の問題

指導要綱の外部効果…その違反を理由として給水を拒否することは原則としてできない(最決平成1.11.8)

行政規則制定手続の外部化…審査基準、処分基準、行政指導指針もパブリック・コメントの対象

 



インターネット(Web)上での少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)考察

私はこのブログを書いていることに加えて、京都アカデメイアなどいくつかの団体に関わっています。これらは直接お金にならないので、ブログを書いてお金になればいいなと夢想したり、団体に広くカンパ(寄付)を集められたらいいのにと話し合ったりすることがあります。そこで投げ銭、カンパ、寄付として、インターネット(Web)上で少額でも送金できるサービスを調べてみたところ、けっこうややこしかったので、ここにまとめておきます。

 

長い記事なので先に結論を示します。

 

  • インターネット外での送金はゆうちょ銀行が便利
  • クレジットカードを持っている人からはAmazonギフト券が簡単に受け取れる
  • ネット銀行の口座を持っている人は他行も含めて気軽に無料で送金できる

 

1.なぜ少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)なのか

この記事の目標は少額送金サービスです。キーワードで言うと「投げ銭」、「カンパ」、「寄付」あたりです。なぜこれを目標にしたのかというと、それは最も単純だからです。記事が役立つ、あるいは団体の活動に賛同するということで気軽にカンパをいただければ現実的に助かると同時にやる気も出ます。ろじっくぱらだいす | はじめに。でも似たようなことが論じられています。

 

2.少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)とは異なるサービス

インターネットで調べ物をしているとよく道に迷います。今回もかなり道に迷い数時間を費やしました。その過程で、自分の求めているものは少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)だと思い至りました。もう道に迷わないように、少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)とは異なるサービスを整理しておきます。

 

最近、クラウドファンディングやマイクロファンディングといった用語を耳にしますが、少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)はそれとは違います。前者は何らかの企画をしかるべきところに出して資金を集めるものであるのに対して、後者は企画を出すこともなく自分のサイトでお金を受け付けるという違いがあります。活動の前に資金を得るか、活動の後に資金を得るかという違いであるとも言えます。クラウドファンディングというと新しい響きがしますが、金融機関の融資や自治体の補助金をもらうために企画書を提出するのと同じ原理です。

 

また、何らかの商品をインターネットを介して売買するeコマースやネットショッピングとも異なります。実体を伴う物を売るにせよ、ソフトウェアやサービスなどの無形物を売るにせよ、決められた商品に決められた金額を払えばサービスを得ることができるというのがeコマースやネットショッピングです。投げ銭、カンパ、寄付は基本的に金額が定められていませんし、支払った金額に応じて何らかのサービスが得られるというわけでもありません。

 

そしてサイトに貼りつけた広告から収入を得るアフィリエイトとも区別できます。Webサイトから収入を得ようとする発想は同じですが、第三者の広告を介在させずに直接お金のやり取りをするのが今回のテーマです。広告があると内容が見づらくなってしまいますし、広告のために内容を作るとなると本末転倒です。

 

言うまでもありませんが、投資でもありません。

 

3.インターネット外での既存のサービス

本題に入る前に、インターネット外にどのようなサービスがあるのかを確認しておきます。これがこの記事の目標であるインターネット上の少額送金サービスを探す際の基準になります。

 

街頭の大道芸人や知り合いの人ならば直接現金を渡せばいいだけです。離れている人には銀行口座で送金するのが一般的です。特にゆうちょ銀行は強大です。全国47都道府県全てに店舗があり、全国でそれぞれ2万を超える店舗とATMがあります。そして驚くべきことに、ATMを用いたゆうちょ銀行の口座間の電信振替なら手数料は無料です。現金から振替口座への通常払込みも3万円未満でATMからの送金であれば手数料は80円です。しかも個人だけでなく任意団体でも口座を作ることができるので、実名を出したくない人でも大丈夫です。私はゆうちょ銀行の回し者ではありませんが、この手軽さと手数料の安さ、そして信頼性はかなりのものです。

 

4.お金の形態(電子マネー)

この項目は理論編なので、具体的なことを知りたいという方は読み飛ばしてください。

 

理想の少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)は、「いいね!」ボタンのようにクリックするだけで好きな金額を好きな相手に手数料なしで送るというものです。しかし何もないところからお金は発生しません。理論的に言うと、何らかのお金が時には形態を変えながら、送り手から受け手に到達するという仕組みが必要です。しかもインターネット上で送金するからには、送り手がインターネット上で送金できるお金(クレジットカード、ネット銀行、電子マネー)を持っていなければ始まりません。

 

最も単純な、知り合いに直接現金を渡すという場合は以下の通りです。

 

現金(送り手)→現金(受け手)

 

もっと詳しく書くならこのような感じでしょうか。

 

労務や商品の提供(送り手)→現金(送り手)→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

いまの日本の状況なら、現金→欲しい商品の断絶はほとんど意識せずにすみます。

 

インターネット外での銀行口座による送金なら次の通りです。

 

現金(送り手)→口座(送り手)→口座(受け手)→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

口座→現金も簡単に実現可能です。

 

インターネット外でビール券をあげるという状況を想定してみましょう。

 

現金(送り手)→ビール券(送り手)→ビール券(受け手)→ビール

 

このように、受け手がビールを欲しければうまくいきます。しかしそうでなければ次のような経路を辿ります。

 

現金(送り手)→ビール券(送り手)→ビール券(受け手)→【金券ショップ等が介在】→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

金券ショップで換金する際には額面より低い金額になるのでこれは避けたいところです。

 

電子マネーはビール券と同じように考えればいいです。

 

現金(送り手)→電子マネー(送り手)→電子マネー(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

だといいですが、

 

現金(送り手)→電子マネー(送り手)→電子マネー(受け手)→【金券ショップ等が介在】→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

となると換金率の部分でロスが生じます。これではいくら送金の部分(送り手から受け手に変化する部分)が効率的でも全体として非効率です。現金(送り手)→電子マネー(送り手)の手間も問題になります。

 

5.インターネット(Web)上での少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)の比較検討

いよいよ本題です。

 

インターネット外ではゆうちょ銀行の口座間で無料送金ができる以上、インターネット上でも手数料が無料であるサービスを求めたいです。また、電子マネーが介在する場合は、上で述べた受け手にとっての使い勝手と送り手の手間が許せる範囲に収まらなければなりません。

 

まず、クレジットカード決済サービスは無料ではないので却下です。クレジットカードで直接決済できれば便利ですが、それなりの費用がかかるので、大規模なeコマースやネットショッピング向けです。最も簡便な部類だと思われるPayPalでさえ一定の手数料が発生します。また、PayPalには法律のためか日本では寄付に使うことができないという問題もあります。

 

電子マネーも軒並み却下です。 Edyにせよちょコムにせよそれらを送るには手数料が発生します。使い勝手や手間も考えるとますます気乗りがしません。

 

一つだけ条件を満たすものを見つけました。Amazonギフト券です。これはクレジットカードを持っている人なら15円以上の1円単位で購入することができ、相手のメールアドレスさえわかれば手数料なしで送ることができます。受け手にとっても本はもちろん、米や生活用品も買えるAmazonギフト券は悪くないです。

 

クレジットカード(送り手)→Amazonギフト券(送り手)→Amazonギフト券(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

実は Amazonギフト券が手数料無料という条件を満たすことに気づいたのは、Kampa!というサービスについての記事をいろいろ読んでいたときでした。最初はKampa!が面白いサービスだなと感じたのですが、よくよく考えるとすごいのは手数料なしでギフト券を送ることのできるAmazonのほうで、メールアドレスを出してもよいのであれば、直接ギフト券を送ってもらえばよいと気づいたのです。欲張るなら自分のアフィリエイトからギフト券に誘導することもできます。

 

いよいよ最後の結論です。インターネット(Web)上での少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)で私が求めていたのはネット銀行(ネットバンク)でした。これだと手数料無料で送金できます。住信SBIネット銀行など、他行への振込でも無料になるネット銀行があります。楽天銀行では相手のメールアドレスと名前だけで送金することもできるようです。最大の弱点は送り手がネット銀行の口座を持っていないといけないということでしょう。

 

ネット銀行口座(送り手)→ネット銀行口座(受け手)→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)

 

6.まとめ

  • インターネット外での送金はゆうちょ銀行が便利
  • クレジットカードを持っている人からはAmazonギフト券が簡単に受け取れる
  • ネット銀行の口座を持っている人は他行も含めて気軽に無料で送金できる

 

 

 

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第16章「行政上の義務違反に対する制裁」

1.意義

「制裁」の意味

 

2.行政罰

(1) 行政刑罰

行政上の義務違反に対する制裁としての刑罰

刑事訴訟法の規定の適用が原則

犯罪の非刑罰的処理(ダイバージョン)…通告処分、反則金

 

(2) 行政上の秩序罰

過料

実行性(徴収)に困難

刑罰と行政上の秩序罰の併科…二重処罰ではない(最判昭和39.6.5)

法律違反の場合は裁判所、条例・規則違反の場合は普通地方公共団体の長

 

3.加算税、過怠税、延滞税等

加算税…申告義務または徴収義務の懈怠、違反に対して課される附帯税

二重処罰ではない(最判昭和33.4.30)

 

4.課徴金

独占禁止法、金融商品取引法、公認会計士法

二重処罰ではないとされる

不当利得返還請求との調整

 

5.公表

情報提供を主たる目的にしたものには法律の留保が及ばない(東京地判平成13.5.30)

 

6.受益的処分の撤回等

 

7.行政サービス、許認可等の拒否

給水拒否など

 

8.契約関係からの排除

 

 

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第15章「行政上の義務履行強制」

1.民事執行と行政的執行

行政的執行は自力救済

 

2.行政的執行の仕組み

行政執行法→行政代執行法(執行罰、直接強制は除外、条例で定めることも不可)

 

3.行政代執行

(1) 実体的要件

代替的作為義務の不履行

他の手段による履行確保の困難性

効果裁量が認められる

 

(2) 手続的要件

あらかじめ文書で戒告

執行責任者の明示

費用の徴収は国税滞納処分の例による

 

(3) 簡易代執行

 

(4) 行政代執行の機能不全

 

4.行政上の強制徴収

(1) 行政上の強制徴収の手続

国税滞納処分

 

(2) 行政上の強制徴収と民事執行

強制徴収が可能な場合に民事執行は不可(最判昭和41.2.23ーー農業共済組合)

行政上の強制徴収の機能不全(国税庁以外)

 

5.非金銭的執行における行政的執行と民事執行

排他性を肯定する裁判例と否定する裁判例

 

6.行政的執行が認められない場合の民事執行

従来は認められてきたが、最判平成14.7.9では法律上の争訟にあたらないとされた

 




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