第1節 限縮的正犯概念と共犯規定
1 共犯現象
2 刑法の共犯規定
(1) 共同正犯
(2) 教唆犯
(3) 幇助犯
(4) 特別規定
(5) 身分犯の共犯
3 処罰拡張事由としての共犯
第2節 間接正犯
1 行為支配説
2 拡張的共犯論
3 間接正犯の類型
(1) 被害者または第三者を強制する場合
(2) 責任能力のない者を利用する場合
(3) 情を知らない者の利用の場合
(4) 錯誤を利用する場合
(5) 過失を利用する場合
(6) 故意ある道具の場合
(7) 適法行為の利用の場合
4 間接正犯の実行の着手時期
5 間接正犯と教唆犯の錯誤
6 身分犯の間接正犯
第3節 共犯の処罰根拠
1 責任共犯論
2 違法共犯論
3 責任共犯論・違法共犯論の弱点
未成年者が酒屋に年齢を明かして酒を頼んだ場合
4 因果的共犯論(惹起説)
5 純粋惹起説
6 構成要件惹起説
7 未遂の教唆
アジャン・プロヴォカトゥール
第4節 共犯の因果性
1 同時犯との相違
2 物理的因果性と心理的因果性
3 幇助の因果関係
4 日常的行為と幇助
第5節 共謀共同正犯
1 実行共同正犯と共謀共同正犯
2 一部行為の全部責任の法理
3 形式的実行共同正犯論
4 共同意思主体説
5 実質的実行共同正犯論
6 準実行共同正犯論
7 重要な役割の意義
8 判例理論の検討(正犯意思)
第6節 片面的共犯
第7節 不作為による共犯
1 問題の所在
2 判例の状況
不作為による幇助しか認めていない(作為義務で判断)
3 学説の状況
(1) 義務二分論
(2) 同時正犯論
(3) 原則幇助犯説
(4) 本書の立場
因果関係の質的差異に着目
第8節 承継的共犯
1 問題の所在
2 判例の展開
3 学説の状況
(1) 完全肯定説
(2) 完全否定説
(3) 中間説(部分的肯定説)
(4) 本書の立場
中間説
第9節 共犯からの離脱
1 問題の所在
2 因果性の遮断
(1) 実行着手前の離脱
(2) 心理的因果性のみの場合
(3) 首謀者の場合
(4) 物理的因果性の存する場合
3 着手後の中止
4 共犯関係の解消
第10節 必要的共犯
1 必要的共犯の意義
2 対向犯
重婚罪、贈・収賄罪、わいせつ物頒布罪における購買行為など
3 立法者意思説
4 立法者意思説への疑問
5 実質説
6 実質説と立法者意思説の併用
第11節 過失の共犯
1 問題の所在
2 共犯構成要件の存否
3 判例の状況
4 学説の展開と検討
第12節 共犯の従属性
1 問題の所在
2 実行従属性
(1) 教唆の未遂の可罰性(実行独立性説と従属性説)
(2) 順次共犯――再間接教唆・間接幇助の可能性
(3) 予備罪の共犯
3 要素従属性
(1) 極端従属性説
(2) 制限従属性説
違法は連帯的に作用するが、責任は個別的に作用する
(3) 最小従属性説
(4) 一般違法従属性説
4 罪名従属性
(1) 犯罪共同説と行為共同説
(2) 共犯・正犯の錯誤の場合
(3) 共犯と身分の場合
(4) 承継的共犯の場合
第13節 共犯と身分
1 65条の立法趣旨
(1) 形式的区別説
(2) 連帯的作用説
(3) 個別的作用説
(4) 本書の立場(実質的区別説)
2 身分の意義
(1) 判例の状況
(2) 消極的身分犯
(3) 強姦罪
(4) 事後強盗罪
(5) 営利の目的(主観的要素)
3 65条1項の解釈
(1) 適用範囲
(2) 「共犯とする」の意義
4 65条2項の解釈
(1) 適用範囲
(2) 「身分のない者」の意義