平成27(2015)年司法試験予備試験論文再現答案法律実務基礎科目(刑事)

問題

次の 【事例】 を読んで、後記 [設問] に答えなさい。

 

【事 例】
1 A (男性、24歳) は、平成27年3月14日、V (男性、19歳) を被害者とする傷害罪の被疑事実で逮捕され、翌15日から勾留された後、同年4月3日に I地方裁判所に同罪で公判請求された。
 上記公判請求に係る起訴状の公訴事実には「被告人は、平成27年2月1日午後11時頃 H県 I市J町1丁目1番3号所在のK駐車場において、V (当時19歳) に対し、拳骨でそ の左顔面を殴打し、持っていた飛び出しナイフでその左腹部を突き刺し、よって、同人に加療約1か月間を要する左腹部刺創の傷害を負わせた。」旨記載されている。

2 受訴裁判所は、平成27年4月10日、Aに対する傷害被告事件を公判前整理手続に付する決定をした。検察官は、同月24日、証明予定事実記載書を同裁判所及びAの弁護人に提出・ 送付するとともに、同裁判所に証拠の取調べを請求し、Aの弁護人に当該証拠を開示した。検 察官が請求した証拠の概要は、次のとおりであった。
(1)  甲第1号証 診断書
 「Vの診断結果は左腹部刺創であり、平成27年2月2日午前零時頃、Vが救急搬送さ れ、直ちに緊急手術をした。加療期間は約1か月間である。」
(2)  甲第2号証 Vの検察官調書
 「私は、平成27年2月1日の夜、交際中のB子に呼び出され、同日午後11時頃、K 駐車場に行ったところ、黒色の目出し帽を被った男が車の陰から現れ、①『お前か。人の女に手を出すんじやねー。』と言って、いきなり私の左顔面を1回拳骨で殴った。私は, いきなり殴られてカッとなり、『何すんだ。』と怒鳴ったところ、その男は、どこからかナ イフを取り出したようで、右手にナイフを持っていた。私が刺されると思うや否や、その男は、『この野郎。』と言いながら、私に向かってナイフを持った右手を伸ばし、私の左脇 腹にナイフを突き刺した。その後、その男は駐車場から走って逃げていったが、私は、意 識がもうろうとしてしまい、気付いたら病院で寝ていた。
 私を刺した犯人の顔は見ていないが、Aが犯人ではないかと思う。私は、アルバイト先 の喫茶店でアルバイト仲間だったB子を好きになり。平成26年12月初旬頃から、3, 4回B子とデートをした。平成27年1月中旬頃、B子に、きちんと付き合ってほしいと言ったところ、B子も承諾してくれた。しかし、その後、私と一緒にいる時に、B子の携帯電話に頻繁にメールや電話が来るので、不審に思ってB子に尋ねると、B子は、『実は、前の彼氏であるAからよりを戻そうとしつこく言われている。Aとは、以前数箇月間同棲 していたことがあるが、異常なほど焼き餅焼きで、私が男友達とメールのやり取りをして いても怒り、私を殴ったりするので、付いていけないと思い、同棲していたA方から飛び 出して1人暮らしを始め、電話番号もメールアドレスも変えた。ところが、Aが私の友人 から新しい電話番号やメールアドレスを聞き出したようで、頻繁に電話を掛けてくるよう になった。新しい彼氏ができたと話したが、お前は俺のものだと言って聞く耳を持たない。 どうやら新しい住所も知られているようで怖い。』と言っていた。その際、B子はAの写真を見せてくれたので、B子の前の彼氏が逮捕されたAであることに間違いない。私は, B子のことは好きだったが、前の彼氏とのトラブルに巻き込まれたくないと思い、B子か らデートに誘われても最近は断りがちで、中途半端な付き合いになっていた。そのような 状況だった平成27年2月1日の午後8時頃、私は、B子から、相談したいことがあるので、どうしても会ってほしいという内容のメールをもらい、B子に会うことにし、B子に 指定されたとおり、同日午後11時頃、K駐車場に行った。ところが、現れたのはB子で はなく、先ほど話した黒色目出し帽の男だった。B子が私と会う約束をしたことを知って Aが私を待ち伏せしていたのではないかと思う。他に恨みを買うような相手に心当たりはない。」
(3)  甲第3号証 捜査報告書
 「平成27年2月1日午後11時10分頃、氏名不詳の女性から『黒色目出し帽の男が K駐車場で人を刺した。』旨の110番通報があり、同日午後11時25分頃、K駐車場に司法警察員が臨場し、付近の検索を行ったところ、同駐車場出入口から北側約10メー トルの地点の歩道脇に、飛び出しナイフ1丁が落ちており、犯人の遺留品の可能性があると思料されたため、同日。これを領置した。」
(4) 甲第4号証 飛び出しナイフ1丁 (平成27年2月1日領置のもの)
(5) 甲第5号証 捜査報告書
 「平成27年2月1日に領置した飛び出しナイフ1丁の柄から採取された指紋1個が。 Aの右手母指の指紋と一致した。」
(6) 甲第6号証 捜査報告書
 「平成27年2月1日に領置した飛び出しナイフ1丁の刃に人血が付着しており、その DNA型が、Vから採取した血液のDNA型と一致した。」
(7) 甲第7号証 B子の検察官調書
 「私は、以前AとA方で同棲していたが、Aの東縛が激しい上、私が男友達とメールの やり取りをしているだけでも嫉妬して私を殴るなどするので嫌になり。平成26年9月頃 A方から逃げ出して、電話番号やメールアドレスを変え、1人暮らしを始めた。その後。 Vと知り合い、平成27年1月頃、Vとの交際を始めた。ところが、Aは、私の電話番号。 メールアドレスを探り出し、私に何度も電話やメールを寄越して復縁を迫るようになった。 私が更に電話番号やメールアドレスを変えると、今度は私の自宅を突き止めたようで、私 の自宅に頻繁に来るようになった。私は、Aに、他に好きな人ができたので復縁するつも りはないと言ったが、Aは納得せず、『そいつと会わせろ。』と言っていた。私は、AがV に暴力を振るうかもしれないと思ったので、AにはVの詳しい情報を教えなかった。私は。 Aから逃げられないという恐ろしさを感じ、VにAとの関係やAに付きまとわれている状況を全部打ち明けた。しかし、Vは、次第に私との距離を置くようになってしまった。私は、私から距離を置こうとするVに腹が立ち、どうしていいのか分からなくなった。私は, 2人を引き合わせればVの態度もはっきりするだろう。Vが私を捨てるなら私も覚悟を決めようと思った。そこで、私は、平成27年2月1日午後8時頃、Vに『今日の午後11 時頃にK駐車場に来てほしい。』という内容のメーノレを送ってVを呼び出し、その後、A に、電話で、私がVを呼び出したことを伝えた。Aは、『俺が行って話を付けてくるから。 お前は家にいろ。』と言っていた。しかし、私は、Vの態度を見たかったので、同日午後 11時前頃、K駐車場付近に行き、2人が現れるのをこっそり待っていた。すると、Aが 現れてK駐車場に入っていき、しばらくするとVが現れてK駐車場に入っていった。私は K駐車場のフェンス脇まで近付き、K駐車場内の様子を見ると、Vが黒色の目出し帽を被 った男に顔を殴られているところだった。私は、目出し帽を被った男の服装が先ほど駐車 場に入っていったAの服装と同じだったので、Aだと分かった。Aは、右手にナイフを持 ち、Vのお腹の辺りに右手を突き出した。私は、Vが刺されたと思い。怖くなってその場 から走って逃げ出し、200メートルくらい離れた場所から匿名で110番通報をした。 私は、そのまま自宅に帰ったので、その後2人がどうなったのか見ていない。
 翌日の2月2日、Aから私に電話があり、Aは、②『Vをナイフで刺した。走って逃げている時に、そのナイフを落としてしまった。』と言っていた。
 平成27年2月1日に警察官が領置したという飛び出しナイフを見せてもらったが、そ のナイフは、Aと同棲していた時に、A方で見たことがある。ナイフの柄にある傷に見覚 えがあるので、Aが持っていたナイフに間違いない。
 私は、Aに自宅を知られているが、引っ越し費用を工面する余裕がなく、転居できる見込みがない。だから、怖くて仕方がない。」
(8) 乙第1号証 Aの司法警察員調書
 「私は、現在、H県 I市内で母と2人で暮らしている。両親は、私が中学生の時に離婚 し、私は母に引き取られた。それ以降、父とは一度も会っていない。私には兄弟はいない。 私は、21歳の時から1人暮らしをしていたが、平成26年5月頃から私の家でB子と同棲していた。しかし、同年9月頃に B子が家を出ていき、それから2週間くらい後の同年 10月頃、母が交通事故に遭って、脳挫傷の傷害を負い、左手と左足に麻痺が残ったため。 私は母が退院した同年12月上旬から実家に戻り、母と同居している。
 私は、高校卒業後、建設作業員として建築会社を転々としたが、現場で塗装工をしてい るCさんと知り合い、1年半くらい前からCさんの下で働いている。Cさんの下で働いて いるのは私だけなので、私が長期間不在にすると、受注していた現場の仕事を工期内に終 わらせることができなくなる。母は1人では日常生活に支障があり、私の手助けが必要だ し、Cさんにも迷惑を掛けたくないので、早く家に戻りたい。
 私には、前科前歴はなく、暴力団関係者との付き合いもない。」

3 Aの弁護人は、前記の検察官請求証拠を閲覧・騰写した後、平成27年5月3日、Aと接見 したところ、Aは、「B子からVをK駐車場に呼び出したことは聞いたが、私は、K駐車場に は行っていない。B子には未練があったので、B子の友達からB子の新しい電話番号などを聞き、連絡をしたことは事実だが、B子がVと付き合っていたのでB子のことは諦めた。むしろ。 最近は、B子から『Vが自分から距離を置こうとしているように感じる。』などと相談を持ち 掛けられていた。B子の家を知っているが、それはB子から相談を持ち掛けられて話をした後。 B子を家まで送っていったからで、B子に付きまとって家を突き止めたわけではない。飛び出 しナイフについては、全く身に覚えがなく、飛び出しナイフの柄になぜ私の指紋が付いていたのか分からない。V と B子が私を陥れようとしているのではないか。」と述べた。

4 Aの弁護人は、平成27年5月7日、検察官に類型証拠の開示請求をし、検察官は、同月13日、同証拠を開示した。Aの弁護人は、Aと犯人との同一性 (犯人性) を争う方針を固め。 同月20日の公判前整理手続期日において、③甲第2号証、甲第5号証及び甲第7号証につい ては「不同意。」。甲第4号証については、「異議あり。関連性なし。」。その他の甲号証及び乙号 証については「同意。」との意見を述べた。
 その後、Aの弁護人は、Aと接見を重ねた結果、飛び出しナイフにAの指紋が付着していた 事実自体は争わない方針に決め、同年6月1日の公判前整理手続期日において、甲第5号証に ついては「同意。」、甲第4号証については「異議なし。」との意見に変更した。
 そして、受訴裁判所は、同月15日に公判前整理手続を終了するに当たり、検察官及びAの 弁護人との間で、争点は犯人性であり、証拠については、甲第2号証及び甲第7号証を除く甲号証、乙号証並びにV及びB子の各証人尋問が採用決定されたことを確認した。
 Aの弁護人は、公判前整理手続終了直後に、V及びB子とは接触しない旨のAの誓約書、A を引き続き雇用する旨のCの上申書及びAの母親の身柄引受書を保釈請求書に添付して、④A の保釈を請求したが、検察官はこれに反対意見を述べた。
 なお、検察官は、証拠開示に当たり、Aの弁護人に、Vの住所、電話番号をAに秘匿するよ う要請し、Aの弁護人もこれに応じて、Aにそれらを教えなかった。

 

〔設問1〕
(1) 下線部③に関し、Aの弁護人が、検察官請求証拠について意見を述べる法令上の義務はあるか、簡潔に答えなさい。
(2) 下線部③に関し、Aの弁護人が、甲第4号証の飛び出しナイフ1丁について「異議あり。関連性なし。」との意見を述べたため。裁判官は、検察官に関連性に関する荻駅明を求めた。検 察官は、関連性についてどのように釈明すべきか、論じなさい。
(3) 甲第5号証の捜査報告書は、Aの犯人性を立証する上で、直接証拠又は間接証拠のいずれとなるか、理由を付して論じなさい。

 

〔設問2〕
 下線部④に関し、Aの弁護人が保釈を請求するに当たり、検討すべき事項及びその検討結果を論じなさい。

 

〔設問3〕
(1) 公判期日に実施されたVの証人尋問において、検察官は、甲第2号証の下線部①のとおりVに証言させようと考え、同人に対し、「そのとき、犯人は、何と言っていましたか。」とい う質問をしたところ、Vは、下線部①のとおり証言し始めた。Aの弁護人が、「異議あり。伝聞供述を求める質問である。」と述べたため、裁判官は、検察官に弁護人の異議に対する意見 を求めた。検察官は、どのような意見を述べるべきか、理由を付して論じなさい。
(2) 公判期日に実施されたB子の証人尋問において、検察官は、甲第7号証の下線部②のとおりB子に証言させようと考え、同人に対し、「Aは、電話でどのような話をしていましたか。」 という質問をしたところ、B子は、下線部②のとおり証言し始めた。Aの弁護人が、「異議あり。伝聞供述を求める質問である。」と述べたため、裁判官は、検察官に弁護人の異議に対す る意見を求めた。検察官は、どのような意見を述べるべきか、理由を付して論じなさい。

 

〔設問4〕
 Aの弁護人は、弁論が予定されていた公判期日の前日。Aから「先生にだけは本当のことを話 します。本当は、私がVを刺した犯人です。しかし、母を悲しませたくないので、明日の弁論は よろしくお願いします。どうか無罪を勝ち取ってください。」と言われ、同期日に、Aは無罪で ある旨の弁論を行った。このAの弁護人の行為は、弁護士倫理上どのような問題があるか、司法 試験予備試験用法文中の弁護士職務基本規程を適宜参照して論じなさい。

 

 

 

再現答案

以下刑事訴訟法についてはその条数のみを示す。

 

[設問1]
(1)弁護人は、316条の13第1項の書面の送付を受け、かつ、316条の14及び316条の15第1項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合において、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない(316条の17第1項前段)。Aの弁護人は、316条の13第1項の書面の送付を受け、かつ、316条の14及び316条の15第1項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けているので、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない(意見を述べる法令上の義務がある)。
(2)本件の公訴事実は、Vにナイフを突き刺して傷害を負わせたことである。そして甲3号証にあるように、本件ナイフは、犯行時刻の直後に、犯行現場の近くに落ちていたものであるので、犯人の遺留品の可能性があると思料される、と検察官は釈明すべきである。
(3)Vはナイフを突き刺されて傷害を負わせられていることが認められるが、本件ナイフがそこで使われたかどうかは不明であり、犯人の遺留品の可能性があるというだけなので、AがVに傷害を負わせたことを直接示すものではなく、甲5号証の捜査報告書は間接証拠になる。

 

[設問2]
 弁護人は義務的保釈(権利保釈)の請求をすることができ(88条)、89条各号に該当しなければ保釈は許される。傷害罪(刑法204条)は1号の罪ではないし、3号の罪でもない。Aには前科前歴はないので2号にも当てはまらない。Aの氏名及び住所は明らかになっているので6号にも該当しない。主だった証拠はすでに収集されているので、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとは言えず、4号にも該当しない。本件は私情のもつれからの犯行であると思われるので、被告人Aが、被害者Cや、その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者であるB子の身体に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるときであると言えるので、5号に該当し、義務的保釈は許されない。B子との過去のいきさつもこの判断を補強する。なお、90条の裁量保釈の可能性がないわけではない。

 

[設問3]
(1)公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない(320条1項)のは、その供述(原供述)の真実性を確かめるためには、原供述者を公判期日で尋問するのが適当であるという趣旨である。供述には、知覚→記憶→保持→再現という心理的プロセスが介在し、誤りが入り込むことも多いので、このような処置がなされているのである。
 下線部①の証言は、その真実性ではなく、本件目出し帽の男が怒ったような口調でVを襲ったということを要証事実としている。よって伝聞法則が適用されないので、これを証拠とすることができる、という意見を検察官は述べるべきである。
(2)伝聞法則が認められるのは(1)で述べた通りであるが、それにはいくつかの例外がある。下線部②の証言は、被告人以外の者であるB子の公判期日における供述で、被告人Aの供述をその内容とするものなので、322条の規定が準用される(324条1項)。その322条1項では、被告人の署名若しくは押印が要求されているが、書面ではない口頭の供述について署名や押印は観念できないので、この点は問題とならない。Vをナイフで刺し、逃走中にそのナイフを落としたという発言は、AがVにナイフで傷害を負わせたことを基礎づけるので、被告人Aに不利益な事実の承認を内容とするものであり、322条1項本文の伝聞例外に該当する。この承認は、AがB子に電話をかけて、聞かれてもいないのに自ら進んで話したことなので、任意にされたものでない疑があると認められず、322条1項但書に該当しない。
 以上より、下線部②の証言は、伝聞例外に該当するので、証拠とすることができる、という意見を検察官は述べるべきである。

 

[設問4]
 弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める(弁護士職務基本規程(以下「規程」とする)1条)。弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする(規程5条)。弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める(規程21条)。このAの弁護人の行為は、AがVを刺した犯人であれば無罪ということはまずあり得ないので、社会正義や信義誠実、とりわけ真実の尊重に反するという問題がある。これは依頼者の正当な利益ではなく、良心に反するおそれもある。

 

感想

[設問2]が比較的単純な事実の条文へのあてはめで、[設問3]は刑事訴訟法の試験で問われそうな伝聞の問題だとすると、取り組みやすいように感じられました。

 




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