令和2(2020)年司法試験予備試験論文再現答案憲法

以下、日本国憲法については、その条数のみを示す。

 

第1 取材の自由
 報道の自由は、国民主権(1条)下の民主的過程における国民の知る権利に資するのであって、21条1項の表現の自由の一内容として保障される。取材の自由は、その報道の自由の前提として、十分尊重に値する。もっとも、取材の自由も、公共の福祉による制約を受け得る(13条)。
 私生活の平穏は、プライバシーの権利と呼ぼうが何と呼ぼうが、13条の幸福追求権に含まれる。
 そして、取材の自由と幸福追求権とが対立するような、日本国憲法で保障された人権の内在的制約の場合は、その制約の目的、その目的を達成する手段、制約される権利の性質、制約の程度や態様などを総合的に考慮して、憲法適合性を判断する。
 本件では、取材の自由と私生活の平穏という幸福追求権とが対立しているので、この枠組みで判断する。

第2 罪刑法定主義(31条)
 本件での制約の態様は、処罰という極めて重いものである。そこで、まずその点につき検討する。
 31条の罪刑法定主義は、処罰が法律に基づいていることだけでなく、一般人をしてどのような行為をしたら処罰されるかが法律から明確に読み取れることを要求している。表現の自由やそこから派生する自由に対して処罰する場合には、どのような行為をしたら処罰されるかが不明確だと表現がいしゅくしてしまうので、特に一般人にとって明確に読み取れることが求められる。

第3 結論
 本件立法の目的は、取材対象者の私生活の平穏を確保することであり、問題文冒頭に書かれた事情からすると、13条で保障される重要な権利である。
 その目的を達成する手段として、問題文に書かれた仕組みを通して、処罰することが想定されている。先にも述べたように、処罰というのは、極めて重い制約である。そして、表現の自由やそこから派生する自由が一度失われると、それを民主的過程を通じて回復することは困難である。
 処罰されるのは取材等中止命令が発出されているにもかかわらず、取材等を行った場合であり、この場面だけを切り取って考えると、明確であるようにも思われる。しかしながら、そもそも「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為」というのは不明確であり、同意があったかどうかも不明確である。そして、合憲限定解釈をする余地もない。
 以上より、本件立法による取材活動の制限は、違憲である。

以上




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