浅野直樹の学習日記

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マルコフ過程の問題の解き方3通り

マルコフ過程の問題の解き方を考えたので忘れないように書き留めておきます。

1.マルコフ過程とは

マルコフ過程とは、Wikipediaの記述を借りると、「未来の挙動が現在の値だけで決定され、過去の挙動と無関係であるという性質を持つ確率過程」です。具体例としては、天気の推移、マーケットシェアの推移、人口推移、機械の状態推移などが挙げられます。

 

2.問題例

具体的な問題例を見てもらいましょう。名古屋大学2006年工学部後期の入試問題です。2006 名古屋大学 後期理学部MathJaxを参考にさせてもらいました。

 

A,B2つの町がある.毎年1月1日に,A町の前年の住民のうち4割がB町に,B町の前年の住民のうち2割がA町に,それぞれ引っ越す(住民の数は十分に多く,引っ越す住民の割合は正確に4割,2割と見なしてよい).それ以外には住民の移動はなく,A町,B町両方をあわせた住民の数は不変である.次の各問に答えよ.

((1)〜(3)はここでは省略)

(4) $n$年後にA町とB町それぞれに住んでいる住民の数を$a_n$と$b_n$とで表す.このとき,つぎの極限を求めよ.
$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{b_n}$

 

3.解き方1:簡便法

上記の(4)で聞かれていることは、長期的にはA町とB町の人口比が何対何になるかということです。

 

「$n+1$年後にA町に住んでいる住民の数$=n$年後にA町に住んでいてとどまった人$+n$年後にB町に住んでいて引っ越した人」と考えることができます。これを数式にすると

$a_{n+1}=0.6a_n+0.2b_n$…①

となります。

同様に

$b_{n+1}=0.4a_n+0.8b_n$…②

です。

 

このようなマルコフ過程では定常状態に落ち着くということを前提にしてもよいならば、定常状態でのA町の人口を$a$、B町の人口を$b$として、①の式に代入すると(②に代入しても最終的に同じ式になります)

$a=0.6a+0.2b$

となります。

これを変形すると

$2a=b$

となるので、長期的にはA町とB町の人口比は$a:b=a:2a=1:2$になることがわかります。

 

この問題のようなマルコフ過程では定常状態に落ち着くということを前提にしてもよいなら上記の簡便法を用いることができます。しかしどちらかというと簡便法で数値を求めることよりも、この問題のようなマルコフ過程では初期値とは関係なく定常状態に落ち着くという事実のほうが興味深いです。そこで以下の方法でそのことを数学的に示します。

 

 

4.解き方2:数列の連立漸化式

先ほどと同じように考えて、①と②の式を作ります。

$a_{n+1}=0.6a_n+0.2b_n$…①
$b_{n+1}=0.4a_n+0.8b_n$…②

これは高校数学で言うところの連立漸化式です。ここでは$a_{n+1}-sb_{n+1}=t(a_n-sb_n)$と変形して解きます(隣接3項間漸化式に持ち込んで解く方法もありますが、この問題では計算が煩雑になります)。

$a_{n+1}-sb_{n+1}=t(a_n-sb_n)$に①と②を代入して

$0.6a_n+0.2b_n-s(0.4a_n+0.8b_n)=t(a_n-sb_n)$

これを整理して$a_n$と$b_n$の係数を比較すると

$0.6-0.4s=t$…③
$0.2-0.8s=-st$…④

となる。③を④に代入してこれを解くと$(s, t)=(-1, 1), (0.5, 0.4)$となる。

$a_{n+1}-sb_{n+1}=t(a_n-sb_n)$に今求めた$(s, t)$を代入して

$a_{n+1}+b_{n+1}=a_n+b_n$…⑤
$a_{n+1}-0.5b_{n+1}=0.4(a_n-0.5b_n)$…⑥

⑤や⑥は等比数列を表しているので

$a_n+b_n=a_1+b_1$…⑦
$a_n-0.5b_n=(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}$…⑧

⑦$-$⑧より

$1.5b_n=a_1+b_1-(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}$

$b_n=\frac23\{a_1+b_1-(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}\}$

⑦$+$⑧$\times2$より

$3a_n=a_1+b_1+2(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}$

$a_n=\frac13\{a_1+b_1+2(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}\}$

以上より

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{b_n}$

$=\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{\frac13\{a_1+b_1+2(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}\}}{\frac23\{a_1+b_1-(a_1-0.5b_1)0.4^{n-1}\}}$

$=\frac{\frac13(a_1+b_1)}{\frac23(a_1+b_1)}$

$=\frac12$

となります。

 

5.解き方3:行列

再三使っている①と②の式

$a_{n+1}=0.6a_n+0.2b_n$…①
$b_{n+1}=0.4a_n+0.8b_n$…②

を行列でまとめて表記すると

$\begin{pmatrix}a_{n+1}\\b_{n+1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0.6& 0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_{n}\\b_{n}\end{pmatrix}$

となります。

$\begin{pmatrix}a_{n}\\b_{n}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_{n-1}\\b_{n-1}\end{pmatrix}$

$\begin{pmatrix}a_{n-1}\\b_{n-1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_{n-2}\\b_{n-2}\end{pmatrix}$

と順に考えていくと

$\begin{pmatrix}a_{n}\\b_{n}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}^n\begin{pmatrix}a_{0}\\b_{0}\end{pmatrix}$

となります。

$\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}^n$

がわかるとうれしいです。

行列の$n$乗と言えば対角化ですね。詳しい説明は省略しますが、固有値と固有ベクトルを用いて

$\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&1\\2&-1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&0\\0&0.4\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\frac13&\frac13\\\frac23&-\frac13\end{pmatrix}$

と変形することができます。

$\begin{pmatrix}\frac13&\frac13\\\frac23&-\frac13\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&1\\2&-1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}=E$

であることに注意すると

$\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}^n=\begin{pmatrix}1&1\\2&-1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1^n&0\\0&0.4^n\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\frac13&\frac13\\\frac23&-\frac13\end{pmatrix}$

となり、右辺を計算すると

$\frac13\begin{pmatrix}1+2\cdot0.4^n&1-0.4^n\\2-2\cdot0.4^n&2+0.4^n\end{pmatrix}$

となります。

よって

$\begin{pmatrix}a_{n}\\b_{n}\end{pmatrix}=\frac13\begin{pmatrix}1+2\cdot0.4^n&1-0.4^n\\2-2\cdot0.4^n&2+0.4^n\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_{0}\\b_{0}\end{pmatrix}$

から

$\begin{pmatrix}a_{n}\\b_{n}\end{pmatrix}=\frac13\begin{pmatrix}(1+2\cdot0.4^n)a_0+(1-0.4^n)b_0\\(2-2\cdot0.4^n)a_0+(2+0.4^n)b_0\end{pmatrix}$

となり、

$a_n=\frac13\{(1+2\cdot0.4^n)a_0+(1-0.4^n)b_0\}$

$b_n=\frac13\{(2-2\cdot0.4^n)a_0+(2+0.4^n)b_0\}$

とわかるので、

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{b_n}$

$=\frac{\frac13(a_0+b_0)}{\frac23(a_0+b_0)}$

$=\frac12$

と最後の答えを求めることができました。

ちなみにこの大学入試問題の省略した小問は以下の通りです。

(1) ある年の末にA町とB町それぞれに住んでいる住民の数を$a_0,b_0$とする.1年後にA町とB町それぞれに住んでいる住民の数$a_1,b_1$を表す式を$\begin{pmatrix}a_{1}\\b_{1}\end{pmatrix}=M\begin{pmatrix}a_{0}\\b_{0}\end{pmatrix}$とおくとき,$2×2$の行列$M$を具体的に示せ.
(2) 以下の式を満足する実数$\alpha, \beta$の値を求めよ.ただし$E$は$2×2$の単位行列である.
$M(M−\alpha{E})=\beta(M−\alpha{E})$
(3) (2)で与えられた式は,$\alpha$と$\beta$を入れ換えても成り立つ.このことと(2)の結果を用いて$M^n$を求めよ.ただし$n$は正の整数とする.

(1)

$M$は上記で登場した$\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}$です。

(2)

力技で解くのが早いと思います。

$M(M−\alpha{E})=\beta(M−\alpha{E})$

$\begin{pmatrix}0.6&0.2\\0.4&0.8\end{pmatrix}\begin{pmatrix}0.6-\alpha&0.2\\0.4&0.8-\alpha\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\beta(0.6-\alpha)&0.2\beta\\0.4\beta&\beta(0.8-\alpha)\end{pmatrix}$

$\begin{pmatrix}0.6(0.6-\alpha)+0.08&0.12+0.2(0.8-\alpha)\\0.4(0.6-\alpha)+0.32&0.08+0.8(0.8-\alpha)\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\beta(0.6-\alpha)&0.2\beta\\0.4\beta&\beta(0.8-\alpha)\end{pmatrix}$

それぞれの要素を比較してうまく式変形をすると

$\alpha+\beta=\frac75, \ \alpha\beta=\frac25$

を得ます。

解と係数の関係より、このような$\alpha, \beta$は

$5x^2-7x+2=0$の解であるので、これを解いて$x=1, \frac25$

以上より、$(\alpha, \beta)=(1, \frac25), (\frac25, 1)$である。

(3)

$M(M−\alpha{E})=\beta(M−\alpha{E})$の両辺に左から$M$をかけると

$M^2(M−\alpha{E})=\beta{M}(M−\alpha{E})=\beta^2(M−\alpha{E})$

となる。これを繰り返すと

$M^n(M−\alpha{E})=\beta^n(M−\alpha{E})$

$M^{n+1}-\alpha{M}^n=\beta^n{M}-\alpha\beta^n{E}$…(A)

が得られる。

$\alpha$と$\beta$を入れ替えて同様の操作をすると

$M^n(M−\beta{E})=\alpha^n(M−\beta{E})$

$M^{n+1}-\beta{M}^n=\alpha^n{M}-\alpha^n\beta{E}$…(B)

が得られる。

(A)$-$(B)より

$(\beta-\alpha)M^n=(\beta^n-\alpha^n)M-\alpha\beta(\beta^{n-1}-\alpha^{n-1})E$

ここに$\alpha=\frac25, \beta=1$を代入して

$\frac35M^n=\begin{pmatrix}0.6(1-0.4^n)&0.2(1-0.4^n)\\0.4(1-0.4^n)&0.8(1-0.4^n)\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}0.4-0.4^n&0\\0&0.4-0.4^n\end{pmatrix}$

$\frac35M^n=\begin{pmatrix}0.2+0.4\cdot0.4^n&0.2-0.2\cdot0.4^n\\0.4-0.4\cdot0.4^n&0.4+0.4\cdot0.4^n\end{pmatrix}$

$M^n=\frac13\begin{pmatrix}1+2\cdot0.4^n&1-0.4^n\\2-2\cdot0.4^n&2+0.4^n\end{pmatrix}$

と求めることができました。

(4)は先ほど対角化で解いた際の記述と同じでよいです。

 

6.まとめ

定常状態の比率の数字だけほしければ簡便法が圧倒的に簡単です。行列をやっていない人は数列のほうがとっつきやすいでしょうが、行列のほうが応用しやすいです。

 



重要英語構文100

重要英語構文100を作ってみました。日本語をクリックすると英訳例が、英訳例をクリックすると解説が表示されます。

 

  1. 彼はベッドに横になった。
    • He lay on the bed.
      • 「横になる」(自動詞)はlie-lay-lain、「〜を横にする」(他動詞)はlay-laid-laid。「うそをつく」はlie-lied-lied。
  2. ジムは自分の車を私に使わせてくれた。
  3. 私は髪を切ってもらった。
    • I had my hair cut.
      • have+O+Cのパターン。うれしい内容なら「OをCの状態にしてもらう」、うれしくない内容なら「OをCの状態にされる」。
  4. 私は、その猫がその道路を横切るのを見た。
  5. 父は私にこの時計をくれました。
  6. 東京に行くのに私は2時間かかった。
  7. その知らせは私を怒らせた。
  8. そんなにうるさくするな!
  9. 早く起きなさい。さもないと学校に遅れますよ。
  10. 「あなたの家は、駅からどのくらいの距離がありますか。」「約3キロです。」
  11. あなたは彼が誰だと思いますか。
  12. 「泳げないの?」「うん、泳げないんだ。」
  13. 「窓を開けてもいいかな。」「どうぞ。」
  14. 今夜、映画を見に行きませんか。
  15. 彼はどんな人ですか。
    • What is he like?
      • このlikeは「〜を好む」という動詞ではなく「〜のような」という前置詞。
  16. そのネコは私の母に世話をされた。
  17. 彼女の母は女優だそうです。
  18. その赤ちゃんはすぐに歩けるようになるでしょう。
  19. ここでは靴を脱がなくてもよいです。
  20. 彼女が怒るのも当然だ。
  21. 彼女はケンの姉にちがいない
    • She must be Ken’s sister
      • 推量(可能性)の助動詞。can’tは「はずがない」。haveをつけると過去の推量(可能性)になる。
  22. 私は仕事後によくジムに行ったものだ
  23. 私の父が死んで5年になる。
  24. 私が競技場に着いたとき、その試合は10分前に始まっていた。
  25. 彼が遅れるだろうと私は思った。
  26. もし私があなたなら、そのような物は買わないだろう。
  27. 彼はまるで何でも知っているかのように話す。
  28. 水がなければ、誰も生きられないだろう。
  29. 私にとって英語を勉強することはおもしろい。
  30. 彼は友達を作ることが簡単だと思っている。
  31. 私は何か温かい飲み物が欲しい。
  32. 彼女は友達に会うために東京へ行った。
  33. 私は一生懸命働いたが、また失敗しただけだった。
  34. このカレーは私が食べるには辛すぎる。
  35. 彼女は親切にも私の荷物を運んでくれた。
  36. 彼の話は本当だとわかった。
  37. 母は私にもっと野菜を食べるようにと言った。
  38. 次に何をすべきか教えてください。
  39. 言うまでもないことだが、健康は富に勝る。
  40. 彼女は野球をするのが上手です。
  41. 兄は私がテレビを見るのを好まない。
  42. 彼女は女優であったことを誇りに思っている。
  43. 彼女に会ったことは決して忘れません。
  44. 彼が喫煙をやめた。
  45. この時計は修理する必要がある。
  46. 医師たちはそのウイルスが蔓延するのを防ごうとした。
  47. 私は笑わずにはいられなかった。
  48. 私は昨晩9時間眠ったが、まだ眠い。
  49. 「私は生魚を食べられません。」「私も食べられません。」
  50. ほとんどの生徒が欠席だった。
  51. その少女はその知らせに驚いた。
  52. 何を言えばよいのかわからず、彼女は黙っていた。
  53. 彼は目を閉じて座っていた。
  54. 私の部屋には家具が多い。
  55. 悪天候のせいで、私たちは試合を中止した。
  56. この写真を見ると、彼はいつも幼少のころを思い出す。
  57. あなたはこの薬を1日につき3回飲まなければならない。
  58. 私はバスで学校に行く。
  59. 私は英語で自分の意思を伝えられなかった。
  60. 先月は雨がほとんど降らなかった。
  61. 私の兄の1人は会社員で、もう1人は大学生です。
  62. 釣りが好きな人もいるし、そうでない人もいる。
  63. このクラスの生徒の誰もその質問に答えられなかった。
  64. その本のどれも有益である。
  65. 私は自分のペンを失くしたので、買わなければならない。
  66. 中国の人口は日本の人口よりはるかに大きい。
  67. 庭で眠っている犬はポチです
  68. 赤い屋根が見える家が、私たちの家です。
  69. 彼らは自分たちが見たものを信じられなかった。
  70. 今日私があるのは両親のおかげです。
  71. これは私が生まれた市だ。
  72. これは私が去年訪れた市だ。
  73. 彼には2人の息子がいて、その息子たちはフランスで働いている。
  74. どれほど疲れていても、彼女は笑顔を絶やさない。
  75. 彼は英語だけでなくスペイン語も話す。
  76. 彼女は私に何か冷たいものがほしいかどうかと尋ねた。
  77. 私の犬は私の声を聞くとすぐにほえ始めた。
  78. いったん車を手に入れると、どこにでも行きたいところに行ける。
  79. 飛行機が遅れない限り、彼は7時にここに来るでしょう。
  80. 私は本を好む一方、彼はスポーツを好む。
  81. あなたは正午までにこの仕事を終えなければならない。
  82. 私たちの息子は数時間経ったら戻ってくるでしょう。
  83. この鉛筆はあの鉛筆の3倍の長さだ。
  84. その医者はできるだけ急いでやって来た。
  85. トムはジョンより3歳年下だ。
  86. 彼は実際の年齢よりずっと若く見える。
  87. 私たちが高く登れば登るほど、寒くなった。
  88. 馬が魚でないのと同様に、鯨は魚ではない。
  89. マイクはこのクラスで2番目に背の高い学生です。
  90. 東京は世界で最も大きな都市の一つだ。
  91. 富士山は日本で最も高い山だ。
  92. そのドラマは悲劇というよりは、むしろ喜劇だった。
  93. 私は少なくとも1万円持っている。
  94. 私は彼女の言っていることをほとんど理解できなかった。
  95. 彼がいつも私に同意するとは限らない。
  96. 健康を失うまでそのありがたさがわからない。
  97. 彼の話は決して退屈ではなかった。
  98. 私たちはどろぼうがビルの家に侵入したという知らせを聞いた。
  99. あなたが成功する望みは、たとえあるにしても、ほとんどない。
  100. 彼は私に、私の両親がどこに住んでいるのか尋ねた。


シュラッター図を使わずに意味を考えて差異分析をする

今、日商簿記検定の勉強をしているところです。日商簿記検定3級・2級の受験記録 – 浅野直樹の学習日記にも書きましたように、差異分析のシュラッター図は、視覚的な印象に反することと呪文のように暗記しろと言われることに抵抗があるので、好きではありません。そこでシュラッター図を使わずに意味を考えて差異分析をする方法を編み出しました。

 

差異分析の目的は、これだけかかると予定していた費用(標準原価)と実際にかかった費用(実際原価)との差を分析することです。標準原価を考える際には便宜的に1時間あたり変動費が○○円で固定費が□□円かかるといったように決めます。そこで標準原価よりも実際原価のほうが大きかった場合に、製品を作るのに予定よりも時間がかかりすぎたこと(能率差異)、電気代の高騰などにより時間あたりの変動費が予定よりも高くなったこと(予算差異)、機械の稼働時間が短かったことなどにより時間あたりの固定費が予定よりも高くなったこと(操業度差異)に分解します。ここではわかりやすさのためにすべて不利(借方)差異であるかのように記述していますが、有利(貸方)差異なら逆に考えればよいだけです。

 

それでは実際の問題で考えてみましょう。

 

1.問題と解答

工業簿記 第120回 第5問 配点20点
製品Aを量産するX社は、パーシャル・プランの標準原価計算を採用している。次の資料にもとづき、製造間接費の差異分析を行いなさい。なお、差異分析では変動予算を用いて、予算差異、能率差異、操業度差異を計算すること。このとき、能率差異は変動費と固定費からなるものとして計算しなさい。
解答は、借方差異ならば(借)、貸方差異ならば(貸)と記入すること。

 

(資料)
1.当月実際製造間接費 1,588,000円(内訳:変動費 628,000円、固定費 960,000円)
2.当月の実際直接作業時間は7,800時間であった。
3.当月生産データ
月初仕掛品 200個(進捗度50%)
当月完成品 2,400個
月末仕掛品 400個(進捗度50%)
4.製品Aの1個当たりの標準直接作業時間は3時間である。
5.年間製造間接費予算 19,200,000円(内訳:変動費 7,680,000円、固定費 11,520,000円)
6.年間の正常直接作業時間は96,000時間である。
(注)製造間接費は直接作業時間を基準として製品に標準配賦されている。

 

<解答>
製造間接費総差異 88,000円(借)
予算差異 4,000円(借)
能率差異 60,000円(借)
操業度差異 24,000円(借)

みんな大好きシュラッター図の覚え方 | パブロフ簿記のブログより)

 

2.解き方

(1)標準原価を計算するために1時間あたりの製造間接費(内訳:変動費 固定費)を求める

表題の通りです。標準原価、つまり予定のほうです。問題文から「年間製造間接費予算 19,200,000円(内訳:変動費 7,680,000円、固定費 11,520,000円)」と「年間の正常直接作業時間は96,000時間である」を読み取って、1時間あたりにするために年間予算を年間予定作業時間である96,000時間で割って、1時間あたりの製造間接費は@200円(内訳:変動費@80円 固定費@120円)であることがわかります。

 

 

(2)ボックス図をかく

ボックス図を書くところまではシュラッター図を用いた解き方と同じです。製造間接費は直接作業時間を基準として製品に標準配賦されているとあるので加工費換算のボックス図です。

100個 2,400個
 2,500個
 200個

これで当月投入量は製品2,500個分だとわかりました。

 

(3)能率差異を求める

問題文より「製品Aの1個当たりの標準直接作業時間は3時間である」とのことなので、製品2,500個分の作業時間は3×2,500=7,500時間になるはずです。しかし「当月の実際直接作業時間は7,800時間であった」と書いてあります。つまり、7,800−7,500=300時間分だけ予定よりも時間がかかりすぎたということです。(1)より1時間あたりの製造間接費は@200円と求めたので、300時間だと200×300=60,000円分の能率の悪さによる不利差異があったと言えます。この問題では必要ありませんが、変動費能率差異は80×300=24,000円、固定費能率差異は120×300=36,000円のそれぞれ不利差異です。

 

(4)実際にかかった変動費と固定費を求める

ここで実際にかかった変動費と固定費を求めておくと後が楽です。この問題では「当月実際製造間接費 1,588,000円(内訳:変動費 628,000円、固定費 960,000円)」と書いてくれているので計算して求める必要がありません。そのまま使うことができます。

 

このような情報が問題文に書いていない場合は自分で計算して求めます。固定費はその名の通り固定されている費用なので求めやすく、こちらから考えます。年間の固定費の予算が11,520,000円なので、11,520,000÷12=960,000円と1月あたりの固定費が求まります。変動費は実際にかかった製造間接費の総額である1,588,000円から先ほど求めた固定費の960,000円を引いて628,000円と計算できます。

 

(5)予算差異を求める

予算差異という言葉がわかりにくいですが、実際にかかった時間で予定される変動費と実際にかかった変動費との差だと理解するとよいです。(3)の能率差異を計算することによりかかった時間の差は分析済みなので、安心して実際にかかった時間を用いてください。

 

1時間あたりの変動費は@80円で実際にかかった時間は7,800時間なので、80×7,800=624,000円が予定される変動費の額です。(4)より実際にかかった変動費の額は628,000円だったので、予定よりも4,000円多くかかりすぎた、つまり4,000円の不利差異が発生していると言えます。

 

(6)操業度差異を求める

操業度差異という言葉もわかりにくいですが、実際にかかった時間で予定される固定費と実際にかかった固定費との差だと理解するとよいです。(3)の能率差異を計算することによりかかった時間の差は分析済みなので、安心して実際にかかった時間を用いてください。

 

1時間あたりの固定費は@120円で実際にかかった時間は7,800時間なので、120×7,800=936,000円が予定される固定費の額です。(4)より実際にかかった固定費の額は960,000円だったので、予定よりも24,000円多くかかりすぎた、つまり24,000円の不利差異が発生していると言えます。

 

3.まとめ

この手順で意味を考えながら計算するとシュラッター図をかかなくても差異分析をすることができます。最初に製品の個数から予定される時間と実際にかかった時間の差である能率差異を計算します。それからは実際にかかった時間を基礎として、予定される変動費と実際にかかった変動費の差である予算差異を求め、予定される固定費と実際にかかった固定費の差である操業度差異を求めるのです。

 

個人的にはこれでようやくすっきりしました。

 

 



日商簿記検定3級・2級の受験記録

日商簿記検定3級と2級を初めて受験したときの記録です。先に結果を書いておくと、3級が93点で合格、2級が69点で不合格でした。

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1.勉強を始める前の状態

2015年の11月頃に簿記の試験を受けてみようと思い立ちました。会計学を教える必要が出てきそうだったからです。先に会計学から入ったのです。財務諸表などはそれなりに読めるものの、これをどうやって作っているのだろうという状態でした。

 

それとは別に団体の会計をすることなども多く、簿記の知識があったほうがよいだろうなと薄々感じていました。小さい団体なので単式簿記でも基本的に問題ないとはいえ、決算資料を作るときに迷うこともありました。

 

肝心の簿記の知識はゼロに等しかったです。複式簿記の何がすごいかもわかっていませんでした(負債や資産を正確に把握し、借方と貸方の数字を合わせることにより検算してミスを防ぎやすくする点に複式簿記のすごさがあると今では理解しています)。

 

電卓も普段は使わないので速く打てません。その代わりに計算を工夫して頭の中でやるといったことはできます。ある金額の5%ならその金額のゼロを一つ取って半分にするといった考え方です。

 

2.簿記3級の勉強

本屋で簿記試験のコーナーを見ると「スッキリ」シリーズと「サクッと」シリーズの2大勢力が目に付きました。両方をぱっと見た感触で「スッキリ」のほうが読みやすかったため、こちらに決めました。

 

絵がかわいいですし、左側(借方)はうれしいことで右側(貸方)は悲しいことのような直感的な理解も悪くありません。欲を言うなら、なぜ複式簿記が必要なのかということや、何のために決算整理をするのかといったことの説明も欲しかったです。特に決算整理は○○表というのがたくさん出てきて混乱しました。財務諸表を作るための作業だということを意識すると理解しやすくなります。精算表で当期純利益が損益計算書の借方から貸借対照表の貸方に移動することも、企業の活動を大きな視点で捉えて財務諸表を意識すればわかりました。

 

「スッキリ」に付属している問題を解き、過去問を10回分くらいやったら、満点に近いところで合格できそうな手応えを得ました。

 

3.簿記2級の勉強

2級も同じく「スッキリ」シリーズを活用しました。

 

商業簿記は3級の発展版なのでスムーズに入れました。こういう場合はこういう仕訳をするという細かいことを覚えるのが大変なだけです。苦労したのは社債を発行したときの調整と帳簿の記入方法あたりです。

 

工業簿記は全く初めての領域だったので戸惑いました。現金など→材料・賃金・経費→仕掛品→製品→売上原価→売上→現金などという大きな循環を大前提として、材料・賃金・経費→仕掛品の部分は直接算入される部分と製造間接費を経由する部分があると理解して、今学んでいる事柄がどこの話なのかということを意識できるようになってようやく慣れました。

 

ボックス図はほぼ完璧に使いこなせるようになったのでよいとして、差異分析のシュラッター図が嫌いです。金額が基準より大きくても小さくても外側に書くという点が視覚的な直感に反していますし、「よその」のように呪文として意味もわからず暗記しろと言われることに抵抗があるのです。それよりも予算差異は予算と実際との差、操業度差異はどれだけ固定費の分を使い倒したかという差異、能率差異は同じだけの製品を作るのにどれだけ多く(少なく)時間がかかったかという差と理解したほうが計算しやすいです。

 

「スッキリ」付属の問題を解いてから過去問を15回分くらいやって、平均的に70点は超えられるかなという状態になりました。

 

4.受験した感想

3級は多少自信がないところもあったものの、満点に近いところだろうという手応えでした。2級は微妙だなという手応えでした。200%定率法というのが何なのかわからず、帰ってから調べると新しく出題されるようになった範囲のようでした。最新情報は常にチェックすべきだと反省しました。

 

結果を見ると、記述式なので自己採点よりも実際の点数が低くなるように感じました。漢字を間違えていたり帳簿や表の書き方が違っていたりするせいでしょうか。

 

次は1級と2級を受けようと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 



複利計算(平均成長率)の計算のやり方

複利計算(平均成長率)の計算についてまとめます。数学的な概念の理解から手計算でのやり方、excelなどの表計算ソフトあるいはgoogle検索でのやり方まで網羅します。対数(log)の定義と基本性質を理解していることを前提にしています。手計算をする際にたびたび用いる常用対数表はインターネット上で検索すればすぐに見つかりますし、数学の教科書などに付属していることも多いです。

 

1.元金と利率から所定年後の満期金額を求める(基準年度の値と成長率から所定年後の値を求める)

100万円を5%の利率で15年預けたら満期時にいくらになるかという例を考えてみましょう。利率が5%というのは2000年以降の日本では考えにくい数字ですが、他の時代や国では十分あり得る数字です。100万円の売上高が毎年5%ずつ成長したら15年後の売上高はいくらになるかというのも同じことですね。求める金額を$x$とすると次の式が成り立ちます。

$x=100\times(1.05)^{15}$

1年目で最初の100万円が1.05倍になり、2年目でそれがさらに1.05倍になり…15年目では(1.05)$^{15}$倍になると考えるのです。

 

(1)手計算

根気よく1.05を15回かければ求めることができますが、電卓を使ってもそれなりに大変です。こういう場合は対数を使うと計算が楽になります。

$x=100\times(1.05)^{15}$

両辺を100で割って

$\frac{x}{100}=(1.05)^{15}$

両辺の常用対数(底が10の対数)を取って

$\log_{10}{\frac{x}{100}}=\log_{10}{(1.05)^{15}}$

$\log_{10}{\frac{x}{100}}=15\log_{10}{(1.05)}$

常用対数表より

$\log_{10}{\frac{x}{100}}=15\times{0.0212}$

$\log_{10}{\frac{x}{100}}=0.318$

常用対数表を逆に読んで

$\frac{x}{100}=2.08$

$x=208$

と求めることができました。約208万円になるのですね。

 

(2)excelなどの表計算ソフト

「=100*(1.05)^(15)」と入力すれば一発で207.89…と求められます。

 

(3)google検索

同様に「100*(1.05)^(15)」と検索窓に入力すれば207.89…と表示されます。

 

2.元金と所定年後の満期金額から利率を求める(基準年度の値と所定年後の値から成長率を求める)

100万円をある定期預金に入れておいたら15年後に200万円になったとときの利率は何%だったのかを求めたいという例を考えてみましょう。15年前の売上高が100万円で現在の売上高が200万円であるときの年平均成長率を求めると言ったほうが自然な状況です。いずれにしても求める利率を$y$%とすると次の式が成り立ちます。

$100\times(1+\frac{y}{100})^{15}=200$

これは少々難しいです。

 

(1)手計算

$100\times(1+\frac{y}{100})^{15}=200$

両辺を100で割って

$(1+\frac{y}{100})^{15}=2$

$(1+\frac{y}{100})=y’$と置くと

$(y’)^{15}=2$

両辺の常用対数を取って

$\log_{10}{(y’)^{15}}=\log_{10}{2}$

$15\log_{10}{(y’)}=\log_{10}{2}$

常用対数表より

$15\log_{10}{(y’)}=0.3010$

$\log_{10}{(y’)}=0.0201$

常用対数表を逆に読んで

$y’=1.05$

$y’$をもとに戻して

$1+\frac{y}{100}=1.05$

$\frac{y}{100}=0.05$

$y=5$

と5%だと求めることができました。常用対数表を用いる際に多少の誤差は生じています。

 

(2)excelなどの表計算ソフト

手計算のときと同じように$(1+\frac{y}{100})=y’$と置いて

$(y’)^{15}=2$

と変形しましょう。次に両辺を$\frac{1}{15}$乗して

$((y’)^{15})^{\frac{1}{15}}=2^{\frac{1}{15}}$

$y’=2^{\frac{1}{15}}$

と変形します。$2^{\frac{1}{15}}$は「=2^(1/15)」と入力すれば1.047…と求められます。

ここから

$1+\frac{y}{100}=1.047$

$\frac{y}{100}=0.047$

$y=4.7$

と4.7%と先ほどより細かく求めることができました。

 

(3)google検索

上記のexcelなどの表計算ソフトと全く同じ方法で求めます。「2^(1/15)」と検索窓に打ち込めば1.047…と表示されます。

 

3.元金と利率と満期金額から所定年数を求める(基準年度の値と成長率と目標値から所定年数を求める)

100万円を利率5%で預けて200万円になるまでに何年かかるかという例です。100万円の売上高が毎年5%ずつ成長して200万円になるまで何年かかるかと言い換えることもできます。求める年数を$z$年とすると以下の式が成り立ちます。

$100\times(1.05)^{z}=200$

これも式変形が必要になりそうです。

 

(1)手計算

$100\times(1.05)^{z}=200$

両辺を100で割って

$(1.05)^{z}=2$

両辺の常用対数を取って

$\log_{10}{(1.05)^{z}}=\log_{10}{2}$

$z\log_{10}{(1.05)}=\log_{10}{2}$

常用対数表より

$z\times{0.0212}=0.3010$

$z=14.198\cdots$

以上より、整数で答えるとすれば15年かかるとわかります。

 

(2)excelなどの表計算ソフト

$100\times(1.05)^{z}=200$

両辺を100で割って

$(1.05)^{z}=2$

まで変形します。対数(log)の定義より

$z=\log_{1.05}{2}$

です。excelなどの表計算ソフトにはlog(真数, 底)という関数があるはずなので「=log(2, 1.05)」とセルに入力すれば14.206…と表示されます。

 

(3)google検索

google検索での電卓にはlog(真数, 底)という機能が存在していないようです。そこで先ほどの式からひと工夫します。

$z=\log_{1.05}{2}$

底の変換公式により底を10に揃えて

$z=\frac{\log_{10}{2}}{\log_{10}{1.05}}$

これを活用して「log(2)/log(1.05)」と検索窓に打ち込めば14.206…と表示されます。

底の変換公式により底を$e$に揃えて

$z=\frac{\log_{e}{2}}{\log_{e}{1.05}}$

と変形して「ln(2)/ln(1.05)」と打ち込んでも同じ結果です。googleの電卓にはlogという底が10の対数と、lnという底が$e$の対数の二種類あります。

 

 

これで複利計算(平均成長率)の計算を網羅できたことでしょう。元金(基準年度の値)を求める場合も論理的には考えられますが、実用性に乏しいので省略させていただきました。

 

 




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