浅野直樹の学習日記

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TOEFL受験記録

今年の夏にTOEFLを初体験しました。参考までにそのときの記録を残しておきます。

 

1.結果

最初に結果を載せておきます。

toefl1

toefl2

Reading…26
Listening…22
Speaking…22
Writing…27
の合計97です。区切りとして100点は超えたかったので、やや残念です。

 

2.手続き

TOEFLは受験する手続きが大変です。公式サイトで登録して、試験の日程と場所を選ぶといった作業を英語で行わなければなりません。解説サイトもたくさんあるので、時間を確保してゆっくりやれば大丈夫です。

 

身分証明書はパスポートが強く推奨されています。私はパスポートを持っていないので運転免許証を選んだのですが、そのせいでひと悶着ありました。試験直前に運転免許証だけではダメで身元確認状のようなものも必要だという記載を見つけてものすごく焦ったのです。ともかく主催者に電話をして、英語で必死に状況を説明すると、日本人が日本で受験する場合は運転免許証だけでも大丈夫だという返事をもらうことができました。今となってはいい思い出で、なおかつ問題を解決できたという自信にもなっています。

 

3.試験勉強

とにかく青い公式本を熟読しました。





作 者: 

出版社: 

発売日: 1970年01月01日

問題のパターンが丁寧に分類されていて、採点基準や正答への至り方、そしてレベル別の答案例もついているので、これを読むに限ります。付属のCDを使えばPC上で実際の試験とほぼ同じ体験をすることもできます。

(1)リーディング

リーディングはアカデミックな素材で楽しく読めます。しかし分量の割に時間が厳しいです。設問パターンが独特ですが、5セット分くらい解くと感覚がつかめました。語彙もある種偏っていて、fossil(化石)やsediment(堆積物)などは何度目にしたかわかりません。

(2)リスニング

事務的なやり取りと講義の2種類あり、どちらも大学生活と密接に結びついています。特に講義のほうは内容によって正解率が大きく変わりました。どの程度メモを取るかといったことは数回練習するとつかめます。

(3)スピーキング

日本の英語教育を受けてきた人にとってはこのスピーキングが最大の難所です。私は初めて公式本で練習した時は沈黙してしまいました。これではいけないと思って、少なくとも話し続けられるように、お題について1分弱話すという基本練習を録音しながらかなりやりました。おかげで試験を受ける頃には話し続けられるようにはなりました。

(4)ライティング

テンプレートを覚えて型にはめるというやり方が主流のようですが、あまり型にはまりたくないほうなので、自由に書きました。これも公式本で練習するのが一番です。英語以前の論理的構成もかなり評価に関わるような気がします。

 

4.試験当日

時間に間に合うように到着して、最後まで受験するということが大事です。遅刻は一切認められませんし、持ち物チェックも厳しくされます。そして約4時間の長丁場なので、集中力を切らさないことも重要です。

 

注意点をいくつか挙げると、時間差で複数の受験者がテストを受けるのでスピーキングで他の受験者が話している声がけっこう聞こえることと、ライティングのキーボードがアメリカ仕様で記号の位置が異なることです。あとは青い公式本と基本的に同じです。

 

5.おまけ

青谷正妥先生から学ぶTOEFL | 京都アカデメイア blogという記事も書きました。 TOEFLテストの概要はスピーキングの練習素材などがあるので、よろしければこちらもご一読ください。

 

 

 



平成27年司法試験予備試験成績通知(論文)

平成27年司法試験予備試験論文の成績通知を公開します。去年の結果は平成26年司法試験予備試験成績通知(論文)です。

27論文成績

 

 

試験科目 順位ランク
憲法 B
行政法 C
民法 B
商法 F
民事訴訟法 C
刑法 D
刑事訴訟法 F
一般教養科目 A
法律実務基礎科目 D
合計点 221.69
順位 673

 

去年と比べるとだいぶましで、勝負にはなっているので、大きな方向は間違っていなかったと思います。基本的な論点を落とさず全ての科目でD以上になれば合格できそうです。

 

 



平成27年司法試験予備試験成績通知(短答)

平成27年司法試験予備試験短答の成績通知を公開します。去年は平成26年司法試験予備試験成績通知、一昨年は平成25年司法試験予備試験成績通知です。

 

平成27年予備短答成績

 

 

試験科目 得点
憲法 15
行政法 28
民法 26
商法 21
民事訴訟法 22
刑法 26
刑事訴訟法 25
一般教養科目 51
合計点 214
順位 95

 

ようやく一般教養頼みではなくまともに短答を突破できました。

 

 



平成27(2015)年司法試験予備試験論文再現答案民事訴訟法

問題

(〔設問1〕と〔設問2〕の配点の割合は,1:1)

 

 次の文章を読んで,後記の〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい(なお,解答に当たっては,遅延損害金について考慮する必要はない。)。

 

【事例】
 弁護士Aは,交通事故の被害者Xから法律相談を受け,次のような事実関係を聴き取り,加害者Yに対する損害賠償請求訴訟事件を受任することになった。
1.事故の概要
 Xが運転する普通自動二輪車が直進中,信号機のない前方交差点左側から右折のために同交差点に進入してきたY運転の普通乗用自動車を避けられず,同車と接触し,転倒した。Yには,交差点に進入する際の安全確認を怠った過失があったが,他方,Xにも前方注視を怠った過失があった。
2.Xが主張する損害の内容
 人的損害による損害額合計 1000万円
(内訳)
(1) 財産的損害 治療費・休業損害等の額の合計 700万円
(2) 精神的損害 傷害慰謝料 300万円

 

〔設問1〕
 本件交通事故によるXの人的損害には,財産的損害と精神的損害があるが,これらの損害をまとめて不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した場合について,訴訟物は一つであるとするのが,判例(最高裁判所昭和48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁)の立場である。判例の考え方の理論的な理由を説明した上,そのように考えることによる利点について,上記の事例に即して説明しなさい。

 

〔設問2〕
 弁護士Aは,本件の事故態様等から,過失相殺によって損害額から少なくとも3割は減額されると考え,損害総額1000万円のうち,一部請求であることを明示して3割減額した700万円の損害賠償を求める訴えを提起することにした。本件において,弁護士Aがこのような選択をした理由について説明しなさい。

 

再現答案

以下民事訴訟法についてはその条数のみを示す。

 

[設問1]
第1 判例の考え方の理論的な理由
 不法行為に基づく損害賠償に関して、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」(709条)とあり、他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず(710条)とあるので、条文からは財産的損害と精神的損害が特に区別されていないと言えることが1つ目の理由である。
 請求を基礎づける事実は、どちらも同じ不法行為(交通事故)であるので、訴訟物が1つであると考えるほうが自然である。これが2つ目の理由である。
 民事訴訟では自由心証主義が採用されている(247条)。財産的損害と精神的損害とで訴訟物が1つだと考えたほうが、これによくなじむ。仮に財産的損害と精神的損害とで訴訟物を異にするとしたら、裁判所は財産的損害と精神的損害とでそれぞれ賠償額を決定しなければならず、きゅうくつである。これが3つ目の理由である。
第2 判例の考え方の利点
 仮に財産的損害と精神的損害とで訴訟物が異なるとしたら、本件事例で裁判所が財産的損害500万円、精神的損害400万円だという心証を形成した場合に、財産的損害については500万円、精神的損害については300万円の計800万円が認容されることになる。この場合に最初から精神的損害を400万円以上請求していたら、合計900万円認容されることになる。これは不合理であり、原告が提訴時に内訳について悩まなくて済むという利点がある。損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる(248条)のも、原告に過大な負担を課さないという意味合いで、これと趣旨を共通にしている。
 また、被告が精神的損害を認定されることを嫌がっている場合に、裁判所として、財産的損害と精神的損害を合わせた損害を認定するといった、柔軟な認定ができるという利点もある。

 

[設問2]
第1 貼用印紙額
 民事訴訟では、訴訟物の価額により、提訴時に納める貼用印紙額が変わる。1000万円の損害賠償を求める訴えを提起するよりも、700万円の損害賠償を求める訴えを提起するほうが貼用印紙額が小さくてすむので、弁護士Aはこのような選択をしたと考えられる。
第2 被告に与える印象
 民事訴訟ではおよそどの段階でも和解をすることができるし、裁判所を介さずに当事者同士が話し合うなどして和解することもできる。本件事例において、Xにも過失があるのに、過失がないかのように損害総額1000万円を請求すると、被告に悪い印象を与えて、和解に協力的でなくなるかもしれない。そのような事態を避けるために、弁護士Aはこのような選択をしたと考えられる。
第3 不利益のなさ
 第1、第2のような理由があったとしても、このような選択をすることに不利益があるとよくない。そこで不利益がないことを検討する。
 明示的一部請求では、一部請求した部分しか訴訟物にならず、相殺をする場合には請求総額を考慮するというのが判例の立場である。本件事例において、Xの過失が想定よりも少なく2割であったとしたら、残りの100万円を別訴で請求することができる。同じ不法行為により発生した損害賠償請求権同士で相殺(過失相殺ではない通常の相殺)をすることを認めたとして、Yが自分の損害賠償請求権で相殺すると主張した場合には、損害総額の1000万円から相殺される。
 このように、不利益がないことも、弁護士Aがこのような選択をした理由である。

 

感想

どちらも答えにくい問題でした。[設問1]では判例に心当たりがありませんでしたし、理由と利点をどう区別するかも悩みました。[設問2]も第1、第2で書いた理由しか思い浮かばず、苦肉の策として第3の記述をしました。

 

 



平成27(2015)年司法試験予備試験論文再現答案商法

問題

 次の文章を読んで,後記の〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい。

 

1.X株式会社(以下「X社」という。)は,昭和60年に設立され,「甲荘」という名称のホテルを経営していたが,平成20年から新たに高級弁当の製造販売事業を始め,これを全国の百貨店で販売するようになった。X社の平成26年3月末現在の資本金は5000万円,純資産額は1億円であり,平成25年4月から平成26年3月末までの売上高は20億円,当期純利益は5000万円である。
 X社は,取締役会設置会社であり,その代表取締役は,創業時からAのみが務めている。また,X社の発行済株式は,A及びその親族がその70%を,Bが残り30%をいずれも創業時から保有している。なお,Bは,X社の役員ではない。

2.X社の取締役であり,弁当事業部門本部長を務めるCは,消費期限が切れて百貨店から回収せざるを得ない弁当が多いことに頭を悩ませており,回収された弁当の食材の一部を再利用するよう,弁当製造工場の責任者Dに指示していた。

3.平成26年4月,上記2の指示についてDから相談を受けたAは,Cから事情を聞いた。Cは,食材の再利用をDに指示していることを認めた上で,「再利用する食材は新鮮なもののみに限定しており,かつ,衛生面には万全を期している。また,食材の再利用によって食材費をかなり節約できる。」などとAに説明した。これに対し,Aは,「衛生面には十分に気を付けるように。」と述べただけであった。

4.平成26年8月,X社が製造した弁当を食べた人々におう吐,腹痛といった症状が現れたため,X社の弁当製造工場は,直ちに保健所の調査を受けた。その結果,上記症状の原因は,再利用した食材に大腸菌が付着していたことによる食中毒であったことが明らかとなり,X社の弁当製造工場は,食品衛生法違反により10日間の操業停止となった。

5.X社は,損害賠償金の支払と事業継続のための資金を確保する目的で,「甲荘」の名称で営むホテル事業の売却先を探すこととした。その結果,平成26年10月,Y株式会社(以下「Y社」という。)に対し,ホテル事業を1億円で譲渡することとなった。X社は,その取締役会決議を経て,株主総会を開催し,ホテル事業をY社に譲渡することに係る契約について特別決議による承認を得た。当該特別決議は,Bを含むX社の株主全員の賛成で成立した。なお,X社とその株主は,いずれもY社の株式を保有しておらず,X社の役員とY社の役員を兼任している者はいない。また,X社及びY社は,いずれもその商号中に「甲荘」の文字を使用していない。

6.その後,Y社は,譲渡代金1億円をX社に支払い,ホテル事業に係る資産と従業員を継承し,かつ,ホテル事業に係る取引上の債務を引き受けてホテル事業を承継し,「甲荘」の経営を続けている。1億円の譲渡代金は,債務の引受けを前提としたホテル事業の価値に見合う適正な価額であった。

7.X社は,弁当の製造販売事業を継続していたが,売上げが伸びず,かつ,食中毒の被害者としてX社に損害賠償を請求する者の数が予想を大幅に超え,ホテル事業の譲渡代金を含めたX社の資産の全額によっても,被害者であるEらに対して損害の全額を賠償することができず,取引先への弁済もできないことが明らかとなった。そこで,X社は,平成27年1月,破産手続開始の申立てを行った。

8.Eらは,食中毒により被った損害のうち,なお1億円相当の額について賠償を受けられないでいる。また,X社の株式は,X社に係る破産手続開始の決定により,無価値となった。

9.Bは,X社の破産手続開始後,上記3の事実を知るに至った。

 

〔設問1〕
(1) A及びCは,食中毒の被害者であるEらに対し,会社法上の損害賠償責任を負うかについて,論じなさい。
(2) A及びCは,X社の株主であるBに対し,会社法上の損害賠償責任を負うかについて,論じなさい。

 

〔設問2〕
 ホテル事業をX社から承継したY社は,X社のEらに対する損害賠償債務を弁済する責任を負うかについて,論じなさい。

 

再現答案

以下会社法についてはその条数のみを示す。

 

[設問1]
(1)役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(429条1項)。「役員等」とは取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人である(423条1項)。
 A及びCはX社の取締役であり、役員等である。Eらが食した弁当を製造することはA及びCの職務である。その弁当に大腸菌が付着していたことをA及びCは知らなかったであろうが、回収した弁当の消費期限の切れた食材を再利用していたので重大な過失がある。Aは直接再利用していたわけではないが、Cから再利用していることの報告を受け、黙認していたので、代表取締役という立場を考慮すると、A及びCの共同行為であると言ってよい。消費期限の切れた食材を用いることは食中毒が発生する危険性が十分考えられる行為であり、予見可能性はあった。そして食中毒の発生を避けるためには消費期限の切れた食材を再利用しなければよいだけであり(再利用させなければよいだけであり)、回避可能性もあった。Eらが食中毒の被害を受けたのはX社の製造した弁当を食したせいであると明らかに認められる(問題文の4)。
 以上より、A及びCは、食中毒の被害者であるEらに対し、会社法上の損害賠償責任を負う。
(2)事実関係は(1)と同じなので、X社の株主であるBが、429条1項の第三者に当たるかを検討する。
 Bが被った損害は、X社の株式が無価値になったことである。株式の価値は会社の価値を反映したものである。会社が被った損害は、429条1項ではなく、423条1項に基づき賠償される。このような会社法の構造からすると、会社が損害を被り、会社の価値が低下し、株式の価値も下がった場合は、423条1項に基づき損害賠償をして会社の被った損害を回復させ、会社の価値を上げ、その結果株式の価値を取り戻すという道筋をたどるべきである。よって、X社の株主であるBは、429条1項の第三者には当たらない。
 本件のように、破産開始手続きが開始した場合には、423条1項で損害を回復させるのは極めて困難であるが、そうならないように、株主としては、取締役の行為を差止めたり(360条1項)、取締役を解任したり(339条1項)すべきであるので、この結論は妥当である。
 以上より、A及びCは、X社の株主であるBに対し、会社法上の損害賠償責任を負わない。

 

[設問2]
第1 事業譲渡の基本的性質
 事業譲渡は、合併(748条)とは異なり、通常の商品の売買と同じであり、その事業以外に影響が及ぶことは基本的にはない。譲渡された事業に従事していた従業員の雇用契約も、当然には承継されず、締結し直さなければならない。しかしながら、場合によっては合併と同じような状態になるので、一定の規制に服している。
第2 事業譲渡に関する諸規制
 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う(22条1項)。Y社は商号を続用していないので、これにより責任を負うことはない。債務引受けの広告をしたという事実も認められないので、23条1項の責任も負わない。譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる(23条の2第1項前段)。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない(23条の2第1項後段)。Y社としては、事業譲渡は価格・手続きとも適正に行われていたので、事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害すべき事実を知らなかったと言える。よって前段について検討するまでもなく、Y社は責任を負わない。
第3 結論
 以上より、ホテル事業をX社から承継したY社は、X社のEらに対する損害賠償債務を弁済する責任を負わない。なお、X社とY社の法人格を否認して、同一視し、Y社に責任を負わせるべきだという事情はない。

以上

 

感想

表現が拙く、論点の抜け落ちもありそうですが、最低限の記述はできたかなと思っております。

 




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