浅野直樹の学習日記

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LibreOfficeのBaseで団体の名簿と会計を管理する(前編)

何らかの団体を作って活動するとなると、会員名簿と会計帳簿を作る必要に迫られます。私もこれまでにいくつかの団体の会員名簿や会計帳簿の管理をしてきました。現時点での完成形を備忘録と今後の引き継ぎのために記録しておきます。データベースの専門家でもなく、その場その場で調べたり考えたりして行き着いたものなので、不備などがあればご指摘いただけると助かります。

 

1.なぜLibreOfficeのBaseを使うのか

もちろん団体の会員名簿と会計帳簿を紙に記入してもよいです。しかし紙だと手書きと計算の手間がかかる上に、コピーして再利用することも難しいです。

 

次に思いつくのがMicrosoft OfficeのExcel(エクセル)やLibreOfficeのCalc(カルク)といった表計算ソフトを使うことです。私も長らくこの方法によっていました。ただ、会費を受け取ったときに会員名簿と会計帳簿の両方に同じことを記入しなくてはならず忘れそうで不安だったことと、決算などで報告書を作るのが面倒だったことが不満でした。Excelのピボットテーブルは使いづらい印象があります。

 

この2つの問題を解決するためにはデータベースを用いるべきです。Microsoft OfficeのAccessは使える環境になく、MySQLをそのままに近い形で使うのも大げさだと思ったので、結局LibreOfficeのBaseに落ち着きました。

 

2.会員名簿と会計帳簿のテーブルを作成する

具体的な操作方法などは検索すれば出てくるので、ここでは主に考え方を述べます。

 

LibreOfficeのBaseも含めて、データベースはテータを格納するテーブル(表)を作り、必要に応じてクエリー(照会)を出力します。そこでまずはテーブルを作成しますが、重複するデータを入力しなくてもいいように設計することが重要です(正規化)。

 

専門家からは間違っていると言われるかもしれませんが、フィールドタイプは日付なら日付[DATE]、文字ならテキスト[VARCHAR]、その他のカテゴリー分類などなら整数[INTEGER]にして、作成するどのテーブルにも「○○ID」という整数フィールドを作ってプライマリーキー(主キー)を設定すればどうにかなります。

 

私なら次のようなテーブルを作ります。

 

(1)会員名簿

フィールド名 フィールドタイプ
会員ID 整数[INTEGER]
種別 整数[INTEGER]
入会日 日付[DATE]
名前 テキスト[VARCHAR]
フリガナ テキスト[VARCHAR]
郵便番号 テキスト[VARCHAR]
都道府県 テキスト[VARCHAR]
住所1 テキスト[VARCHAR]
住所2 テキスト[VARCHAR]
電話番号 テキスト[VARCHAR]
メール テキスト[VARCHAR]
最終会費納入 日付[DATE]
備考 テキスト[VARCHAR]

02

「種別」は0が退会、1が正会員、2が賛助会員のようにカテゴリーを割り振ります。「フリガナ」は五十音順で並べるときに使います。理屈上は「郵便番号」から「都道府県」と「住所1」の途中までは得られますが、そこまでプログラムしなくてもよいでしょう。「住所1」と「住所2」を分けているのは宛名ラベル印刷の都合です。もしも「生年月日」や「FAX」などが必要なら適当に加えればよいです。

 

(2)会計帳簿

会計帳簿は「現金」や「当座預金」のような形態に即してテーブルを作る方法も考えられますが、単式簿記でよいなら「会費納入」、「その他収入」、「支出」のような機能別にテーブルを作るほうが実感に沿っていてやりやすいです。

 

①会費納入

フィールド名 フィールドタイプ
会費ID 整数[INTEGER]
納入方法 整数[INTEGER]
納入日付 日付[DATE]
会員名 テキスト[VARCHAR]
開始 日付[DATE]
終了 日付[DATE]
単価 整数[INTEGER]
納入合計 整数[INTEGER]
備考 テキスト[VARCHAR]

05

「納入方法」は1が現金で2が当座預金振込といった具合です。月会費で2015年12月から2016年5月まで納入したとしたら、「開始」に2015/12/1、「終了」に2016/5/1のように入力します。「単価」は固定なら省略してもいいですね。「納入合計」は計算で出せますが、日付の引き算は面倒ですし、入力しちゃってもいいでしょう。

 

②その他収入

フィールド名 フィールドタイプ
その他収入ID 整数[INTEGER]
納入方法 整数[INTEGER]
納入日付 日付[DATE]
科目 整数[INTEGER]
摘要 テキスト[VARCHAR]
金額 整数[INTEGER]
備考 テキスト[VARCHAR]

04

「科目」は1なら寄付、2なら雑収入のように数字で費目に対応させます(入力するのは数字です)。「摘要」には「封筒100枚」のように後でわかるように書きます。

 

もし定期的な事業収入があったりすれば別途テーブルを作って必要な形に整えることをおすすめします。

 

③支出

フィールド名 フィールドタイプ
支出ID 整数[INTEGER]
支出方法 整数[INTEGER]
支出日付 日付[DATE]
科目 整数[INTEGER]
摘要 テキスト[VARCHAR]
金額 整数[INTEGER]
備考 テキスト[VARCHAR]

06

先ほどの「その他収入」テーブルとほとんど同じです。ただ、支出は科目の種類が多いので、「補助科目」を設けてもよいかもしれません。

 

これで下準備はできました。

 

 

 



TOEFL受験記録

今年の夏にTOEFLを初体験しました。参考までにそのときの記録を残しておきます。

 

1.結果

最初に結果を載せておきます。

toefl1

toefl2

Reading…26
Listening…22
Speaking…22
Writing…27
の合計97です。区切りとして100点は超えたかったので、やや残念です。

 

2.手続き

TOEFLは受験する手続きが大変です。公式サイトで登録して、試験の日程と場所を選ぶといった作業を英語で行わなければなりません。解説サイトもたくさんあるので、時間を確保してゆっくりやれば大丈夫です。

 

身分証明書はパスポートが強く推奨されています。私はパスポートを持っていないので運転免許証を選んだのですが、そのせいでひと悶着ありました。試験直前に運転免許証だけではダメで身元確認状のようなものも必要だという記載を見つけてものすごく焦ったのです。ともかく主催者に電話をして、英語で必死に状況を説明すると、日本人が日本で受験する場合は運転免許証だけでも大丈夫だという返事をもらうことができました。今となってはいい思い出で、なおかつ問題を解決できたという自信にもなっています。

 

3.試験勉強

とにかく青い公式本を熟読しました。





作 者: 

出版社: 

発売日: 1970年01月01日

問題のパターンが丁寧に分類されていて、採点基準や正答への至り方、そしてレベル別の答案例もついているので、これを読むに限ります。付属のCDを使えばPC上で実際の試験とほぼ同じ体験をすることもできます。

(1)リーディング

リーディングはアカデミックな素材で楽しく読めます。しかし分量の割に時間が厳しいです。設問パターンが独特ですが、5セット分くらい解くと感覚がつかめました。語彙もある種偏っていて、fossil(化石)やsediment(堆積物)などは何度目にしたかわかりません。

(2)リスニング

事務的なやり取りと講義の2種類あり、どちらも大学生活と密接に結びついています。特に講義のほうは内容によって正解率が大きく変わりました。どの程度メモを取るかといったことは数回練習するとつかめます。

(3)スピーキング

日本の英語教育を受けてきた人にとってはこのスピーキングが最大の難所です。私は初めて公式本で練習した時は沈黙してしまいました。これではいけないと思って、少なくとも話し続けられるように、お題について1分弱話すという基本練習を録音しながらかなりやりました。おかげで試験を受ける頃には話し続けられるようにはなりました。

(4)ライティング

テンプレートを覚えて型にはめるというやり方が主流のようですが、あまり型にはまりたくないほうなので、自由に書きました。これも公式本で練習するのが一番です。英語以前の論理的構成もかなり評価に関わるような気がします。

 

4.試験当日

時間に間に合うように到着して、最後まで受験するということが大事です。遅刻は一切認められませんし、持ち物チェックも厳しくされます。そして約4時間の長丁場なので、集中力を切らさないことも重要です。

 

注意点をいくつか挙げると、時間差で複数の受験者がテストを受けるのでスピーキングで他の受験者が話している声がけっこう聞こえることと、ライティングのキーボードがアメリカ仕様で記号の位置が異なることです。あとは青い公式本と基本的に同じです。

 

5.おまけ

青谷正妥先生から学ぶTOEFL | 京都アカデメイア blogという記事も書きました。 TOEFLテストの概要はスピーキングの練習素材などがあるので、よろしければこちらもご一読ください。

 

 

 



平成27年司法試験予備試験成績通知(論文)

平成27年司法試験予備試験論文の成績通知を公開します。去年の結果は平成26年司法試験予備試験成績通知(論文)です。

27論文成績

 

 

試験科目 順位ランク
憲法 B
行政法 C
民法 B
商法 F
民事訴訟法 C
刑法 D
刑事訴訟法 F
一般教養科目 A
法律実務基礎科目 D
合計点 221.69
順位 673

 

去年と比べるとだいぶましで、勝負にはなっているので、大きな方向は間違っていなかったと思います。基本的な論点を落とさず全ての科目でD以上になれば合格できそうです。

 

 



平成27年司法試験予備試験成績通知(短答)

平成27年司法試験予備試験短答の成績通知を公開します。去年は平成26年司法試験予備試験成績通知、一昨年は平成25年司法試験予備試験成績通知です。

 

平成27年予備短答成績

 

 

試験科目 得点
憲法 15
行政法 28
民法 26
商法 21
民事訴訟法 22
刑法 26
刑事訴訟法 25
一般教養科目 51
合計点 214
順位 95

 

ようやく一般教養頼みではなくまともに短答を突破できました。

 

 



平成27(2015)年司法試験予備試験論文再現答案民事訴訟法

問題

(〔設問1〕と〔設問2〕の配点の割合は,1:1)

 

 次の文章を読んで,後記の〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい(なお,解答に当たっては,遅延損害金について考慮する必要はない。)。

 

【事例】
 弁護士Aは,交通事故の被害者Xから法律相談を受け,次のような事実関係を聴き取り,加害者Yに対する損害賠償請求訴訟事件を受任することになった。
1.事故の概要
 Xが運転する普通自動二輪車が直進中,信号機のない前方交差点左側から右折のために同交差点に進入してきたY運転の普通乗用自動車を避けられず,同車と接触し,転倒した。Yには,交差点に進入する際の安全確認を怠った過失があったが,他方,Xにも前方注視を怠った過失があった。
2.Xが主張する損害の内容
 人的損害による損害額合計 1000万円
(内訳)
(1) 財産的損害 治療費・休業損害等の額の合計 700万円
(2) 精神的損害 傷害慰謝料 300万円

 

〔設問1〕
 本件交通事故によるXの人的損害には,財産的損害と精神的損害があるが,これらの損害をまとめて不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起した場合について,訴訟物は一つであるとするのが,判例(最高裁判所昭和48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁)の立場である。判例の考え方の理論的な理由を説明した上,そのように考えることによる利点について,上記の事例に即して説明しなさい。

 

〔設問2〕
 弁護士Aは,本件の事故態様等から,過失相殺によって損害額から少なくとも3割は減額されると考え,損害総額1000万円のうち,一部請求であることを明示して3割減額した700万円の損害賠償を求める訴えを提起することにした。本件において,弁護士Aがこのような選択をした理由について説明しなさい。

 

再現答案

以下民事訴訟法についてはその条数のみを示す。

 

[設問1]
第1 判例の考え方の理論的な理由
 不法行為に基づく損害賠償に関して、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」(709条)とあり、他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず(710条)とあるので、条文からは財産的損害と精神的損害が特に区別されていないと言えることが1つ目の理由である。
 請求を基礎づける事実は、どちらも同じ不法行為(交通事故)であるので、訴訟物が1つであると考えるほうが自然である。これが2つ目の理由である。
 民事訴訟では自由心証主義が採用されている(247条)。財産的損害と精神的損害とで訴訟物が1つだと考えたほうが、これによくなじむ。仮に財産的損害と精神的損害とで訴訟物を異にするとしたら、裁判所は財産的損害と精神的損害とでそれぞれ賠償額を決定しなければならず、きゅうくつである。これが3つ目の理由である。
第2 判例の考え方の利点
 仮に財産的損害と精神的損害とで訴訟物が異なるとしたら、本件事例で裁判所が財産的損害500万円、精神的損害400万円だという心証を形成した場合に、財産的損害については500万円、精神的損害については300万円の計800万円が認容されることになる。この場合に最初から精神的損害を400万円以上請求していたら、合計900万円認容されることになる。これは不合理であり、原告が提訴時に内訳について悩まなくて済むという利点がある。損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる(248条)のも、原告に過大な負担を課さないという意味合いで、これと趣旨を共通にしている。
 また、被告が精神的損害を認定されることを嫌がっている場合に、裁判所として、財産的損害と精神的損害を合わせた損害を認定するといった、柔軟な認定ができるという利点もある。

 

[設問2]
第1 貼用印紙額
 民事訴訟では、訴訟物の価額により、提訴時に納める貼用印紙額が変わる。1000万円の損害賠償を求める訴えを提起するよりも、700万円の損害賠償を求める訴えを提起するほうが貼用印紙額が小さくてすむので、弁護士Aはこのような選択をしたと考えられる。
第2 被告に与える印象
 民事訴訟ではおよそどの段階でも和解をすることができるし、裁判所を介さずに当事者同士が話し合うなどして和解することもできる。本件事例において、Xにも過失があるのに、過失がないかのように損害総額1000万円を請求すると、被告に悪い印象を与えて、和解に協力的でなくなるかもしれない。そのような事態を避けるために、弁護士Aはこのような選択をしたと考えられる。
第3 不利益のなさ
 第1、第2のような理由があったとしても、このような選択をすることに不利益があるとよくない。そこで不利益がないことを検討する。
 明示的一部請求では、一部請求した部分しか訴訟物にならず、相殺をする場合には請求総額を考慮するというのが判例の立場である。本件事例において、Xの過失が想定よりも少なく2割であったとしたら、残りの100万円を別訴で請求することができる。同じ不法行為により発生した損害賠償請求権同士で相殺(過失相殺ではない通常の相殺)をすることを認めたとして、Yが自分の損害賠償請求権で相殺すると主張した場合には、損害総額の1000万円から相殺される。
 このように、不利益がないことも、弁護士Aがこのような選択をした理由である。

 

感想

どちらも答えにくい問題でした。[設問1]では判例に心当たりがありませんでしたし、理由と利点をどう区別するかも悩みました。[設問2]も第1、第2で書いた理由しか思い浮かばず、苦肉の策として第3の記述をしました。

 

 




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