浅野直樹の学習日記

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2023 / 4月

司法試験予備試験10年間の学習記録(5)条文

この記事では、私が条文とどのように付き合ってきたかをまとめます。

1.全体像

以下のような連続投稿を予定しています。

2.条文そのもの(素読)

ニュースや日常生活において、あるいは法律関係の本を読んでいるときなどに、気になることがあれば、面倒がらずに条文に当たるようにしています。第何条と決まっていたらWikibooksに、法律全体ならe-Govにたどり着くことが多いです。これは気になることがあって調べますから、記憶に残りやすいです。

また、憲法、民法、刑法など、試験範囲となる主要な法令については、最初から最後まで通読(素読)を何度かしました。短答式試験では条文そのものが問われることがありますし、論文式試験でもどのようなことがどのあたりに書いてあるかを把握しておくことは重要です。そのために条文の素読は有効です。試験用六法で素読をする人もいるでしょうが、私はe-GovをPDF化して読みました。過去問を解いたりするときもe-Govに頼っています。それで試験用六法では探せないと感じたことはありません。

3.判例六法

判例六法の位置づけ人によって大きく異なるのではないかなと想像しています。

私はあまり使っていないほうだと思います。普段はほとんど使わず、5年に1回くらい買って、試験範囲の法律の部分を通読したくらいです。


有斐閣判例六法


作 者: 

出版社: 有斐閣

発売日: 2023年11月05日

判例六法に載っている判例部分は短すぎて記憶に残りづらく(単純な記憶力に難のある私にとっては、固有名詞や背景事情が書いてあったほうが記憶に残りやすくてよいです)、条文そのものを探すにはやや不便だからです。

ただ、判例六法を通読すると、条文の重要度が視覚的にわかりやすく、その条文のどの部分が問題になりやすいかもつかみやすいので、一度は通読することをおすすめします。

4.コンメンタール

恥ずかしながら、私は司法試験予備試験の学習を始めてから5年くらいはコンメンタールという存在を知りませんでした。

その存在を知ってから、日本評論社の『新基本法コンメンタール』シリーズを、それなりに読みました。

これを読んでおけばその法律の全体像をかなり詳細につかむことができ、試験においてもまったく知らないことが出題されることはないだろうという安心感が芽生えます。

辞書的に使うという人も多いでしょうが、私は通読派です。

1つの科目を1,2冊でカバーできる、憲法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、労働法あたりは、比較的とっつきやすいです。


憲法


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2012年10月24日


民事訴訟法1


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2021年05月06日


民事訴訟法2


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2018年03月26日


刑法


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2024年02月07日


刑事訴訟法


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2018年09月14日


労働基準法・労働契約法


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2021年02月09日


労働組合法


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2012年10月24日

3冊以上になる民法と会社法は分量に圧倒されます。

行政法はこのシリーズがないみたいなので、髙木光他著『行政救済法 第2版』で代用しました。


行政救済法


作 者: 

出版社: 弘文堂

発売日: 2015年10月13日

 

 

 



司法試験予備試験10年間の学習記録(4)過去問

他の資格試験でもそうであるように、司法試験でも、過去問は重要で良質な教材です。

そのうち自分でも過去問を集めて見やすいように公開したいと思っていたりします。

以下では、短答式・論文式・口述式のそれぞれについて、現行の試験と旧試験とに分けて詳述します。

 

1.全体像

以下のような連続投稿を予定しています。

 

2.短答式

(1)現行の司法試験と予備試験

現行の司法試験と予備試験の短答式過去問はかなり早い段階からやりました。1年目に基本書を一読してすぐに過去問に取り組みました。

10年前は司法試験でも3科目ではなく7科目だったのでかなりのボリュームです。

最初はわからないことだらけでしたが、量をこなすうちに慣れてきました。

最初のうちは、日本評論社の『司法試験の問題と解説』シリーズを使いました。


司法試験の問題と解説2022


作 者: 

出版社: 日本評論社

発売日: 2023年03月01日

ある程度学習が進んでからは、正答を見て自分で調べられるようになりました。

毎年予備試験の短答式試験の直前には過去問をいくらかやり直しました。

(2)旧司法試験

現行の司法試験と予備試験だけでもかなりの分量がありますし、論文式試験がメインなので、旧司法試験の短答式過去問には手を出していません。

 

3.論文式

(1)現行の司法試験と予備試験

実際の試験がどのようであるかを知っておきたかったので、現行の司法試験と予備試験の論文式過去問も1,2年目という早い段階から取り組みました。

特に司法試験のほうは長文の出題の趣旨と採点実感が公表されていて、これが最重要資料だと私は認識しております。

1,2年目に初めて取り組んだときは出題の趣旨や採点実感を読んでもピンとこなかったです。最近になってようやくそれらが言わんとしていることがわかるようになってきました。

論文式についても最初の頃は日本評論社の『司法試験の問題と解説』シリーズを見ていたのですが、これは出題の趣旨や採点実感が公開される前の記述ですし、実際の受験生の答案からはかけ離れているようにも思われたので、途中からは再現答案や参考答案を主に参照するようになりました。どの年度でも検索すればいくつか出てきます(私もこのブログで書いています)。

現行の司法試験と予備試験の論文式過去問は、だいたい2周しています。2周目は添削サービスを利用しています。

(2)旧司法試験

旧司法試験の論文式過去問は宝の山です。旧司法試験と同じことが現行の司法試験と予備試験で繰り返し出題されています。

過去問自体は検索すればすぐに見つかるでしょうが、解説を入手しづらいのが難点です。比較的新しめの年度であれば、再現答案や参考答案がインターネット上に公開されていたりもします。

まとまった解説として、LECの『司法試験予備試験 新・論文の森』シリーズと、Wセミナーの『司法試験 新論文過去問集』シリーズが挙げられます。


司法試験予備試験新・論文の森憲法


作 者: 

出版社: 東京リーガルマインド

発売日: 2011年11月09日


新論文過去問集憲法


作 者: 

出版社: 早稲田経営出版

発売日: 2011年01月17日

LECの『司法試験予備試験 新・論文の森』シリーズは、演習書という位置づけになるのでしょうが、実は比較的新しい年度の旧司法試験の解説として使うことができます。

Wセミナーの『司法試験 新論文過去問集』シリーズは、純粋な過去問集です。

私は、これらを参照しつつ、平成以後の旧司法試験の論文式過去問を、答案と構想の中間的な記述ではありますが、全部やりました。

民事訴訟法に限っては、藤田広美『解析 民事訴訟』(東京大学出版会、2013)が旧司法試験の解説をしてくれています。


解析民事訴訟


作 者: 

出版社: 東京大学出版会

発売日: 2013年06月28日

他の科目でもこのような本があるのでしょうか。ご存知の人がいらっしゃいましたら教えてください。

 

4.口述式

(1)現行の司法試験と予備試験

現行の司法試験には口述式試験がありませんのでもっぱら予備試験になります。

私は3年目くらいから口述式試験を意識するようになりました。

現行の予備試験については、インターネットでやり取りの再現を公開している人がそれなりにいますし、辰已法律研究所の『司法試験予備試験 法律実務基礎科目ハンドブック』にも収録されています。


司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック1


作 者: 

出版社: 辰已法律研究所

発売日: 2020年09月11日


司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック2


作 者: 

出版社: 辰已法律研究所

発売日: 2020年09月11日

 

(2)旧司法試験

旧司法試験では口述式試験の長年の蓄積があります。

手に入れにくいですが、分厚い口述過去問集が存在しています。


口述過去問集憲法


作 者: 

出版社: 早稲田経営出版

発売日: 2006年03月28日


口述過去問集民事系


作 者: 

出版社: 早稲田経営出版

発売日: 2006年03月28日


口述過去問集刑事系


作 者: 

出版社: 早稲田経営出版

発売日: 2006年03月28日

私はこの本を5周くらいしました。

問答式で臨場感があって頭に入ってきやすく、試験委員がどのようなことを考えているかを垣間見れたからです。

法改正があった部分は脳内で補完しています。

旧司法試験の口述式試験も貴重で有用な資料ですから、法改正のフォローをした上でどこか出版してくれないでしょうかね。

 




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