[一] 総説
1 賃貸借とは何か
2 不動産利用権の各種と賃貸借
(1) 使用貸借
無償なので賃貸借よりも借手の地位が弱い
(2) 地上権
(3) 地役権
共同便益に開かれている
(4) 永小作権・入会権
(5) 賃貸借の地位
賃借権の物権化(農地法、借地借家法)
3 賃貸借に適用される法律
(1) 民法の賃貸借規定の構造と特別法
(2) 借地借家法の適用対象
借地権…建物の所有を主たる目的とするものでなければならない
一時使用は適用除外
[二] 賃貸借契約の成立
1 成立要件
諾成契約
2 契約成立の際に授受される金銭
(1) 敷金
家屋の明渡しと同時履行関係に立たない
賃貸人交代では引き継ぎ、賃借人交代では引き継がず
(2) 権利金
場所的利益の対価、賃料の一部の一括前払い、賃借権に譲渡性を与える対価
(3) 更新料
更新料の支払義務をめぐって争いあり
3 処分の行為能力・権限を有しない者の賃貸借
[三] 存続期間
1 最初の存続期間
(1) 民法の原則
20年が上限
(2) 借地
普通借地権は一律30年
一般定期借地権は50年以上
事業用借地権は10年以上50年未満
建物譲渡特約付借地権は30年以上経過後に相当の対価で建物を譲渡すれば更新なし
(3) 借家
当事者が定めた期間
ただし1年未満は無期、明渡猶予期間は6ヶ月
2 更新
(1) 民法の原則
黙示の更新
(2) 借地
合意による更新
更新請求による更新(阻止するためには正当事由が必要)
使用継続による更新
(3) 借家
法定更新(強行規定)
定期建物賃貸借は例外
(4) 担保の継続
[四] 賃貸人・賃借人の権利義務
1 賃貸人の義務
(1) 使用・収益させる義務等
(2) 修繕義務
(3) 費用償還義務
必要費は直ちに償還
有益費は契約終了時に費やした金額か増価額のいずれかを償還
留置権が認められる
2 賃借人の権利・義務
(1) 使用収益権
増改築禁止特約
建物再築による期間延長
(2) 賃料支払義務
増減額請求権(形成権)
調停前置主義
(3) 終了時の目的物返還義務
借地の建物買取請求権
借家の造作買取請求権
[五] 賃借権の譲渡・目的物の転貸
1 原則
賃借権の譲渡(中間者が離脱)と転貸(中間者が離脱しない)
借地権の譲渡・転貸は許可を裁判所に請求できる
2 解除権の制限
借家の無断転貸は解除事由になるが、特段の事情があれば解除できない
3 解除できるときの法律関係
4 適法な譲渡・転貸がなされたときの法律関係
転借人は賃貸人に対して直接義務を負う
合意解除の場合は転借人に対抗できない
債務不履行解除の場合は転借人に対抗できるが、転借人は第三者弁済をすることができる
[六] 賃借人の第三者に対する関係
1 賃借権の対抗力の問題
(1) 不動産賃借権の対抗力
「売買は賃貸借を破る」…地震売買(民法の原則)
(2) 借地権の対抗力
登記されている建物があれば対抗できる
(3) 借家権の対抗力
建物の引渡しが対抗要件
(4) 動産賃貸借の対抗力
引渡しで対抗できるとの多数説
2 賃借権の二重設定
対抗要件の先後
3 不法占拠者との関係
債権者代位権の転用
対抗力のある賃借権による妨害排除請求権
[七] 終了原因
1 民法の原則
期間満了・解約申入れ
2 期間満了・解約申入れによる終了と特別法
正当事由には立退料が考慮される
3 特別の終了原因
(1) 賃借人の債務不履行による解除
信頼関係破壊理論
(2) 目的物の滅失等による使用不能
(3) 賃借人の死亡
内縁の配偶者や事実上の養子による承継が認められている