私はこのブログを書いていることに加えて、京都アカデメイアなどいくつかの団体に関わっています。これらは直接お金にならないので、ブログを書いてお金になればいいなと夢想したり、団体に広くカンパ(寄付)を集められたらいいのにと話し合ったりすることがあります。そこで投げ銭、カンパ、寄付として、インターネット(Web)上で少額でも送金できるサービスを調べてみたところ、けっこうややこしかったので、ここにまとめておきます。
長い記事なので先に結論を示します。
- インターネット外での送金はゆうちょ銀行が便利
- クレジットカードを持っている人からはAmazonギフト券が簡単に受け取れる
- ネット銀行の口座を持っている人は他行も含めて気軽に無料で送金できる
1.なぜ少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)なのか
この記事の目標は少額送金サービスです。キーワードで言うと「投げ銭」、「カンパ」、「寄付」あたりです。なぜこれを目標にしたのかというと、それは最も単純だからです。記事が役立つ、あるいは団体の活動に賛同するということで気軽にカンパをいただければ現実的に助かると同時にやる気も出ます。ろじっくぱらだいす | はじめに。でも似たようなことが論じられています。
2.少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)とは異なるサービス
インターネットで調べ物をしているとよく道に迷います。今回もかなり道に迷い数時間を費やしました。その過程で、自分の求めているものは少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)だと思い至りました。もう道に迷わないように、少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)とは異なるサービスを整理しておきます。
最近、クラウドファンディングやマイクロファンディングといった用語を耳にしますが、少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)はそれとは違います。前者は何らかの企画をしかるべきところに出して資金を集めるものであるのに対して、後者は企画を出すこともなく自分のサイトでお金を受け付けるという違いがあります。活動の前に資金を得るか、活動の後に資金を得るかという違いであるとも言えます。クラウドファンディングというと新しい響きがしますが、金融機関の融資や自治体の補助金をもらうために企画書を提出するのと同じ原理です。
また、何らかの商品をインターネットを介して売買するeコマースやネットショッピングとも異なります。実体を伴う物を売るにせよ、ソフトウェアやサービスなどの無形物を売るにせよ、決められた商品に決められた金額を払えばサービスを得ることができるというのがeコマースやネットショッピングです。投げ銭、カンパ、寄付は基本的に金額が定められていませんし、支払った金額に応じて何らかのサービスが得られるというわけでもありません。
そしてサイトに貼りつけた広告から収入を得るアフィリエイトとも区別できます。Webサイトから収入を得ようとする発想は同じですが、第三者の広告を介在させずに直接お金のやり取りをするのが今回のテーマです。広告があると内容が見づらくなってしまいますし、広告のために内容を作るとなると本末転倒です。
言うまでもありませんが、投資でもありません。
3.インターネット外での既存のサービス
本題に入る前に、インターネット外にどのようなサービスがあるのかを確認しておきます。これがこの記事の目標であるインターネット上の少額送金サービスを探す際の基準になります。
街頭の大道芸人や知り合いの人ならば直接現金を渡せばいいだけです。離れている人には銀行口座で送金するのが一般的です。特にゆうちょ銀行は強大です。全国47都道府県全てに店舗があり、全国でそれぞれ2万を超える店舗とATMがあります。そして驚くべきことに、ATMを用いたゆうちょ銀行の口座間の電信振替なら手数料は無料です。現金から振替口座への通常払込みも3万円未満でATMからの送金であれば手数料は80円です。しかも個人だけでなく任意団体でも口座を作ることができるので、実名を出したくない人でも大丈夫です。私はゆうちょ銀行の回し者ではありませんが、この手軽さと手数料の安さ、そして信頼性はかなりのものです。
4.お金の形態(電子マネー)
この項目は理論編なので、具体的なことを知りたいという方は読み飛ばしてください。
理想の少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)は、「いいね!」ボタンのようにクリックするだけで好きな金額を好きな相手に手数料なしで送るというものです。しかし何もないところからお金は発生しません。理論的に言うと、何らかのお金が時には形態を変えながら、送り手から受け手に到達するという仕組みが必要です。しかもインターネット上で送金するからには、送り手がインターネット上で送金できるお金(クレジットカード、ネット銀行、電子マネー)を持っていなければ始まりません。
最も単純な、知り合いに直接現金を渡すという場合は以下の通りです。
現金(送り手)→現金(受け手)
もっと詳しく書くならこのような感じでしょうか。
労務や商品の提供(送り手)→現金(送り手)→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)
いまの日本の状況なら、現金→欲しい商品の断絶はほとんど意識せずにすみます。
インターネット外での銀行口座による送金なら次の通りです。
現金(送り手)→口座(送り手)→口座(受け手)→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)
口座→現金も簡単に実現可能です。
インターネット外でビール券をあげるという状況を想定してみましょう。
現金(送り手)→ビール券(送り手)→ビール券(受け手)→ビール
このように、受け手がビールを欲しければうまくいきます。しかしそうでなければ次のような経路を辿ります。
現金(送り手)→ビール券(送り手)→ビール券(受け手)→【金券ショップ等が介在】→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)
金券ショップで換金する際には額面より低い金額になるのでこれは避けたいところです。
電子マネーはビール券と同じように考えればいいです。
現金(送り手)→電子マネー(送り手)→電子マネー(受け手)→欲しい商品(受け手)
だといいですが、
現金(送り手)→電子マネー(送り手)→電子マネー(受け手)→【金券ショップ等が介在】→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)
となると換金率の部分でロスが生じます。これではいくら送金の部分(送り手から受け手に変化する部分)が効率的でも全体として非効率です。現金(送り手)→電子マネー(送り手)の手間も問題になります。
5.インターネット(Web)上での少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)の比較検討
いよいよ本題です。
インターネット外ではゆうちょ銀行の口座間で無料送金ができる以上、インターネット上でも手数料が無料であるサービスを求めたいです。また、電子マネーが介在する場合は、上で述べた受け手にとっての使い勝手と送り手の手間が許せる範囲に収まらなければなりません。
まず、クレジットカード決済サービスは無料ではないので却下です。クレジットカードで直接決済できれば便利ですが、それなりの費用がかかるので、大規模なeコマースやネットショッピング向けです。最も簡便な部類だと思われるPayPalでさえ一定の手数料が発生します。また、PayPalには法律のためか日本では寄付に使うことができないという問題もあります。
電子マネーも軒並み却下です。 Edyにせよちょコムにせよそれらを送るには手数料が発生します。使い勝手や手間も考えるとますます気乗りがしません。
一つだけ条件を満たすものを見つけました。Amazonギフト券です。これはクレジットカードを持っている人なら15円以上の1円単位で購入することができ、相手のメールアドレスさえわかれば手数料なしで送ることができます。受け手にとっても本はもちろん、米や生活用品も買えるAmazonギフト券は悪くないです。
クレジットカード(送り手)→Amazonギフト券(送り手)→Amazonギフト券(受け手)→欲しい商品(受け手)
実は Amazonギフト券が手数料無料という条件を満たすことに気づいたのは、Kampa!というサービスについての記事をいろいろ読んでいたときでした。最初はKampa!が面白いサービスだなと感じたのですが、よくよく考えるとすごいのは手数料なしでギフト券を送ることのできるAmazonのほうで、メールアドレスを出してもよいのであれば、直接ギフト券を送ってもらえばよいと気づいたのです。欲張るなら自分のアフィリエイトからギフト券に誘導することもできます。
いよいよ最後の結論です。インターネット(Web)上での少額送金サービス(投げ銭、カンパ、寄付)で私が求めていたのはネット銀行(ネットバンク)でした。これだと手数料無料で送金できます。住信SBIネット銀行など、他行への振込でも無料になるネット銀行があります。楽天銀行では相手のメールアドレスと名前だけで送金することもできるようです。最大の弱点は送り手がネット銀行の口座を持っていないといけないということでしょう。
ネット銀行口座(送り手)→ネット銀行口座(受け手)→現金(受け手)→欲しい商品(受け手)
6.まとめ
- インターネット外での送金はゆうちょ銀行が便利
- クレジットカードを持っている人からはAmazonギフト券が簡単に受け取れる
- ネット銀行の口座を持っている人は他行も含めて気軽に無料で送金できる