平行線と線分の比
平行線と線分の比とは、右の図でBC // DEのとき、次の2つの事柄が成り立つことです。
(ア) AB:AD=AC:AE=BC:DE
(イ) AD:DB=AE:EC
(ア)の証明はそれほど難しくありません。
【証明】
△ABCと△ADEにおいて
BC // DEより平行線の同位角は等しいので
∠ABC=∠ADE…①
∠ACB=∠AED…②
①、②より2つの角がそれぞれ等しいので
△ABC∽△ADE
対応する辺の比は等しいので
AB:AD=AC:AE=BC:DE
これで(ア)は証明できました。問題は(イ)です。直感的には成り立ちそうですが、きちんと証明するとなると意外に苦労します。
平行線と線分の比の証明その1
補助線を引いて平行四辺形を作るやり方です。中学数学の教科書に載っているのはおそらくこれです。
【証明】
Dを通りACに平行な直線を引き、その直線とBCとの交点をFとする。
△ADEと△DBFにおいて
BC // DEより平行線の同位角は等しいので
∠ADE=∠DBF…①
AC // DFより平行線の同位角は等しいので
∠DAE=∠BDF…②
①、②より2つの角がそれぞれ等しいので
△ADE∽△DBF
対応する辺の比は等しいので
AD:DB=AE:DF…③
四角形DECFは平行四辺形なので
DF=EC
このことと③より
AD:DB=AE:EC
平行線と線分の比の証明その2
私は補助線を引いて平行四辺形を作ることが思いつかず、相似比から直接考えました。
【証明】
(ア)の証明より
△ABC∽△ADEであり、その相似比をa:bとすると
AB:AD=AC:AE=a:bとなる。
このことより、ある正の数m, nを用いて(2020/9/28「任意の正の数」を「ある正の数」に訂正)
AB=am, AD=bm
AC=an, AE=bn
と表すことができる。
DB=AB−AD=am−bm=m(a−b)
EC=AC−AE=an−bn=n(a−b)
となり、
AD:DB
=bm:m(a-b)
=b:(a−b)
AE:EC
=bn:n(a−b)
=b:(a−b)
となるので、
AD:DB=AE:ECが成り立つ。
比と実際の長さを混同しないように注意する必要がありますが、こうすれば補助線を引くことなしに相似比から直接証明できます。
[…] ; ぱっと証明することができず悔しかったので丁寧な説明を以下の記事にまとめました。よろしければご覧ください。 浅野直樹の学習日記 | 平行線と線分の比の証明 […]
助かりました。本当にありがとうございます。
ありがとうございました。
質問です。
平行線と線分の比で、
AB:BD=AC:CEは成り立ちますか。
質問です。
平行線と線分の比で、
AB:BD=AC:CEは成り立ちますか。
はい、AB:BD=AC:CEは成り立ちます。
補助線を引く「その1」の証明と同じようにするなら、△ABC∽△DBFから示せます。
補助線を引かない「その2」の証明と同じようにするなら、AB:BD=am:m(a−b)=a:a-b、AC:CE=an:n(a−b)=a:a-bより示せます。
返信ありがとうござます。
証明することができました。
教えていただいたおかげで、外角の二等分線の定理が納得できました。
ありがとうございました。