1.意義
法律と個別具体的な行政行為の中間に法律の定めを具体化した基準を行政機関が策定することが一般化
法規命令…行政機関が定める法規(国民一般の権利義務に関わる)
行政規則…行政機関が策定する一般的な規範(法規以外)
2.法規命令
(1) 法規命令が必要とされる理由
迅速・柔軟な対応
(2) 法規命令の特色
法律による授権が必要
委任命令と執行命令に分類して法律による授権が必要なのは委任命令のみだとする考え方がある
(3) 委任立法の限界
委任の合憲性(委任の方法)…白紙委任の禁止(最判昭和33.5.1ーー国家公務員の政治的行為)
ただし最判平成5.3.16ーー教科書検定などで、判例は違憲審査に謙抑的
再委任…安易に再委任を認めるべきではないが、軽微な事項についての再委任を違法とする必要はない
委任命令の適法性(委任の内容)…裁量の範囲を逸脱したとして違法だとされた判例(最判昭和46.1.20ーー農地法80条、最判平成3.7.9ーー監獄法45条1項、最判平成14.1.31ーー児童扶養手当法4条1項5号、最判平成21.11.18ーー公職選挙法89条1項など)
法規命令の形式…政令、内閣府令、省令、外局規則、人事院規則、地方自治体の長の定める規則など
授権法の廃止と委任命令の効力…失効すると解すべき
委任立法の手続的統制…制定申出権、国会による承認等、審議会等への諮問等、公聴会等の開催、パブリック・コメント、他の行政機関等の関与
3.行政規則
(1) 行政規則の根拠と形式
法律の授権を要しない
公示する必要があるものは告示の形式をとることが多い
(2) 行政規則の伝統的な類型
行政組織に関する定め
特別の関係における定め
解釈基準(通達)…国民や裁判所を拘束する外部効果はない
裁量基準…裁量基準の設定が要求される場合がある(最判昭和46.10.28ーー個人タクシー事件)→行政手続法
給付規則…補助金に関する要綱など
指導要綱(行政指導指針)…宅地開発等に際して行われる行政指導の指針、作成・公表の義務
(3) 行政規則概念の有用性
(4) 行政規則の外部化
行政組織に関する定めの外部効果…所掌事務外の者が行った行政作用の無効
特別の関係における定めの外部効果…退学処分への司法審査
解釈基準の外部効果…通達自体に対する取消訴訟を認めた例(東京地判昭和46.11.8ーー函数尺の計量法違反)
裁量基準の外部効果…公にされるので相手方の信頼保護の必要性
給付規則の外部効果…平等原則違反の問題
指導要綱の外部効果…その違反を理由として給水を拒否することは原則としてできない(最決平成1.11.8)
行政規則制定手続の外部化…審査基準、処分基準、行政指導指針もパブリック・コメントの対象