宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第21章「行政指導」

1.行政指導の長所と短所

長所…臨機応変に行政需要に応じることができる

短所…不透明、救済が困難

 

2.要綱行政

条例制定権の限界のため宅地開発等で要綱行政が広く行われている

 

3.学説・裁判例による行政指導の法理論の発展

(1) 根拠規範の要否

判例は不要であるという前提に立っている

 

(2) 行政指導の限界

法令違反…コンドルデリンジャー事件(東京地判昭和51.8.23)

比例原則違反…下関市立商業事件(最判昭和55.7.10)

行政指導に従ったことに起因する損害賠償請求…最判平成5.2.18など、指導要綱の文言や運営の実態を考慮

 

(3) 許認可等の留保

許認可等の留保の違法性の判断基準…「真摯かつ明確な意思表示」+「社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しないこと」(最判昭和60.7.16ーー品川区マンション事件)

「社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情」…宮崎地判平成7.10.6

「真摯かつ明確な意思表示」…最判昭和56.7.16

 

(4) 行政指導の作為義務

薬害などで条理上肯定されることがある

 

4.行政手続法における行政指導の規定

(1) 意義

行政指導について独立の章

行政指導…行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(2条6号)

 

(2)  実体的規定

不利益取り扱いの禁止

権利行使妨害の禁止

 

(3) 手続的規定

責任者の明確化

文書での交付

行政指導指針の公表

 

5.行政手続条例の規定

独自の工夫をした条例もある

 




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