令和4(2022)年司法試験予備試験口述再現(2日目・民事)です。
帰宅して一晩寝てから作っているので忘れている部分があり、正確な再現ではありません。
本番はかなりグダグダだったのですが、読めるように補正しています。
主査の発言を地の文で、私の発言を――以下で、その他の内心の動きなどを()内で記載しています。副査は一言も発しませんでした。
(ドアのノック、ベルの音、○室○番ですの後)
パネルを見ながら聞いてください(パネルには、令和4年4月1日AはXに本件土地を売って登記を移転した、本件土地に賃借権が付いておらずXは本件土地を自由に利用するつもりだった、Xは本件土地を見に行かず建物が建っていることに気づかなかった、令和3年4月1日YはAから賃借していた本件土地に本件建物を建てて登記を経由した、といった内容が書かれており、その内容が主査により読み上げられた)。
――はい(状況がわからないということはないし、この問題に当たったのはラッキーかも。これは借地借家法でYの賃借権が対抗できるからXは負けるのでは)。
XはYに対して建物を収去して本件土地を明け渡すことを求めたいです。Xから相談を受けた弁護士Pは、Yに抗弁が成立するのではないかと考えました。それは何ですか。
――(訴訟物や請求の趣旨を言わせるのではないのですね)Yは対抗できるという抗弁です(Yが借地借家法で賃借権を対抗できそうだということが頭から離れずこのように言ってしまう)。
対抗関係ですか!?
――(主査はかなり不機嫌そう)いえ、本件土地についてXとYは対抗関係に立ちません。Yは有効な賃借権があり…
ということは賃借権に基づいて占有するという抗弁ですか。
――はい、賃借権に基づく占有権原の抗弁です(最初の質問でかなり時間を浪費して主査に答えを言わせてしまったけれども、副査がチェックした動作が見えたので、おまけでクリア扱いかなと思う)。
弁護士Pは、その抗弁が成立するかどうか確かめることがあると思いますが、それは何ですか。
――(建物所有目的であると思い込んだ上で借地借家法の除外規定を念頭に置いて)AY間の本件土地の賃貸借が一時利用目的かどうかを確かめます。
建物所有目的かどうかを確かめるということですね。
――(あ、そこからの確認か。善解してくださったのですね)はい(副査が何か言いたげなようにも見えたが結局何も言わず)。
Yは、自宅を建造するという約束で本件土地を賃借していたのですが、民泊を始めました。Xはどのような主張をしますか。
――(主査が「ちんじゃく」と発音していたことが印象に残る、「ちんしゃく」じゃないのか)用法義務違反を理由として賃貸借契約を解除します。Aはそのような解除ができ…
用法「遵守」義務違反ですね。あなたは今Xが解除できるということを言ったと思うのですが、Xが賃貸人になることに法律上の根拠はありますか。
――(義務の正確な名称と、解除の主体をAと言ったのをXと善解してくれたのですね、本当にありがたいです。自信を持って)民法です。
条文はわかりますか。
――六百何条かと記憶しておりますが、何条かまではわかりません。
それはどのような内容ですか。
――(一般論ではなく本件を思い浮かべて)土地を売買、譲渡したときに、賃貸人の地位が譲渡人に当然移転する…
土地だけですか。
――(主査は不満げ、しかし理由がわからず)いえ、土地だけでなく建物でも同様です。
そういう意味ではなくて。まぁいいや。Xは他には何か必要ではありませんか。
――(賃借人が賃料の二重払いを避けるため?)登記が必要です。
Yはどうですか。売買は賃貸借を破るのではないですか。
――いえ、賃借人(ちんしゃくにん)Yには本件土地上にある本件建物の登記があり、その日付がXより先なので、借地借家法で対抗できます(これが最初から言いたくて仕方なかった)。
賃借人(ちんじゃくにん)ですね。Xが主張する請求の訴訟物を言ってください。
――(やはり「ちんしゃく」ではなく「ちんじゃく」なのか。この発音は採点には関係ないはず。この流れだと所有権に基づくのではなく賃貸借契約終了に基づくはずだから)賃貸借契約終了に基づく建物収去土地明渡請求権です(建物収去を強く意識してこのように言ってしまいました)。
もう一度言ってもらえますか…賃貸借契約終了に基づくというのはそれでよいので。
――(主査は不満げ)賃貸借契約終了に基づく…目的物返還請求権です(言葉が出てきてよかった)。
そうですね。それではパネルを裏返してください。賃貸借契約終了の原因の要件事実を言ってもらいます。パネルを黙読してください。
――はい(パネルの裏側には、AY間の賃貸借契約の内容、Yが民泊として利用していること、X代理人Pが民泊としての利用をやめるように内容証明郵便を送ったこと、X代理人Pが賃貸借契約を解除するという内容の内容証明郵便を送ったことが書かれている。30秒程度で黙読)。すみませんが、もう一度質問をお願いできますでしょうか。
賃貸借契約終了の原因の要件事実を言ってください。
――まず賃貸借契約の成立…
終了原因事実だけでいいですよ。
――はい。(パネルの文言をそのまま読み上げて)X代理人弁護士Pは…
代理人弁護士Pというのは必要ですか。
――すみません、必要ないです。Xは、令和4年○月1日、Yに対し、内容証明郵便で…
内容証明郵便というのは必要ですか。
――いえ、すみません。不要です。Xは、令和4年○月1日、Yに対し、「(民泊としての利用をやめるようにといった内容のパネルの文言そのまま)」と伝えた。
「伝えた」ですか。もうちょっと他に言い方はありませんか。
――(主査が微妙な顔をしている、どうしようか)伝達した、意思表示した…
「催告」ですね。
――(その言葉がほしかったのか。もうちょっと誘導してもらえたら言えそうだったのに)はい、催告です。
それと、○月1日でよかったですか。民法では到達主義で…
――何度もすみません、○月2日です(主査を遮ってしまってすみません。一刻も早く早く訂正したかったものでして)。
他には何ですか。
――Xは、令和4年△月4日、Yに対し、「(解除するといった内容のパネルの文言そのまま)」と伝えた、意思表示した。
○月4日ですか。
――(また同じ間違いをしてしまった、どこまでパネルを棒読みして、どこから自分で考えるのかの振り分けが難しい)すみません、5日です。
それと?
――経過です。(この場合は到来ではなく経過ですよね)令和4年○月15日は経過した。
それだけで足りますか。
――(パネルの裏側に書いてあることで使っていないのは…最初の契約内容の部分か)AY間の賃貸借契約は、「(自宅として利用するといった内容のパネルの文言そのまま)」を特約としていた。
そうですね。これで最後の質問です。
――(副査の手が動いたし一応クリアなのかな)はい。
パネルは表にしてもらってもいいですよ。
――(パネルを表に戻す)はい。
Yは民泊として利用する許可をAから得たと言っていますが、Aは民泊として利用したいと頼まれた記憶はあるが承諾した記憶はありません。Yから依頼された弁護士Qは、Aに対して、承諾したという内容の証言をしてもらうようにお願いすることをYから求められています。この場合に、依頼者について考慮すべきことを明らかにしつつ、どうすべきかを答えてください。
――(法曹倫理か、これは状況がイメージしやすいかも)Qは、依頼人の利益を尊重すべきだということを考慮しつつ(主査満足げ)、他方で偽証罪の教唆をすることができないということも考慮して、Yに丁寧に説明すべきだと考えます。
説明するだけですか。
――説明をした上で、内心に反する供述を証人尋問ですることは偽証罪に該当し、私としてそのお願いをAにすることはできかねますと…
要は断るということですね。
――(それくらい簡潔な答えを求めていたのか)はい、断るということです。
以上です。お疲れさまでした。
――ありがとうございました。
(部屋から退出する)
直後は落ち込みました。最初で大きく躓いたのがよくなかったです。聞かれていることに対して的確に答えないといけません。
振り返ると民事訴訟法についての問いがなかったように思われますので、時間がかかりすぎて途中省略されたのかもしれません。
それでも対話をして食らいつくという姿勢は見せることができましたし、58はなくて59かなと思いたいです。