〔設問1〕
(1) 保証契約に基づく保証債務履行請求権1個。
(2) Yは、Xに対し、200万円及びこれに対する平成30年6月15日から支払い済みまでの10%の金員を支払え。
(3) ①本件貸付の保証契約を締結した
②保証契約
③書面
④9日、Aは、Xに対し、(あ)の債権を譲渡した
(4) この確定判決を債務名義(民事執行法(以下「民執法」という。)22条1号)として、執行文の付与を受け(民執法26条)、不動産執行として強制競売又は強制管理(民執法43条1項)を申立てるべきである。
〔設問2〕
(1) Qが答弁書に記載するのは譲渡禁止特約の抗弁であると考えられる。債権は譲渡できるのが原則である(民法466条1項)が、当事者が反対の意思を表示した場合(譲渡禁止特約を付した場合)は譲渡できない(民法466条2項本文)からである。なお、民法466条2項ただし書の第三者(X)の善意は、再抗弁となる。
(2) 乙絵画を所有していた
(3) Bが、Xに対し、本件絵画を引き渡したことに係る事実を主張することが必要である。これは代物弁済の抗弁であるところ、代物弁済を定めた民法482条には「債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたとき」と規定されているからである。
〔設問3〕
Qは、本件答弁書において、その言い分を抗弁として主張すべきではない。この抗弁は債権譲渡の対抗要件の抗弁であると考えられる。指名債権である本件貸付債権は、確定日付のある証書によって債務者に通知をすれば、債務者以外の第三者に対抗できるからである。内容証明郵便は確定日付のある証書であり、それにより債務者Bに通知がされているので、第三者であるYに対抗できる。よってこの言い分は、主張自体失当となり、抗弁を構成しない。
〔設問4〕
第1 本件借用証書の成立の真正
本件借用証書は、保証契約締結を立証するための証拠であり、それはXが立証責任を負っている。よってXは本証をしなければならず、Yは反証でよい。
本件借用証書には、Yの印章による印影が認められるので、Yが押印したと推定され、真正に成立したと推定される(民事訴訟法228条4項、いわゆる二段の推定)。Yとしては、BがYの印章を盗んで押印したのであってYが押印したのではないことを示して、その推定をくつがえさなければならない。もっとも、Xが本証をしなければならずYは反証でよいことには変わらないので、Xとしては本件借用証書の成立の真正が真偽不明とならないように主張しなければならない。
第2 提出された書証や両者の供述から認定することができる事実
AB間の本件貸付やAのXに対する債権譲渡については争いがない。本件借用証書が存在していることについても争いがない。争いがあるのはYA間で保証契約を締結したかどうかであり、もっと言うならYが押印したのかどうかである。YがBのいとこであることも争いがない。
よって、XとしてはYが押印してAY間で保証契約が締結されたことを主張すべきである。そしてそれが認められれば代物弁済が判断されることになる(本問の指示により以下ではこれを検討しない)。
第3 Pが準備書面に記載すべき内容
本件借用証書には、Yの印章による印影があり、Yの押印が推定されるところ、BがYの印章を盗み出して勝手に押したとYは主張している。しかし、一般に実印(Yの印章)は大切に保管するものである。夫婦のように密接な関係で同居しているのならともかく、いとこ同士で行き来も少なくなっていて急に泊まりに来たBがYの実印の保管場所を知っているとは思えない。Yは小さい頃から同じ場所に実印を保管していたと言っているが、下見もせずに実印がそこにまだ保管されていると決めつけて、事前に借用証書を準備して泊まりに来るということはおよそ考えられない。Bが一人になる機会があるとも限らない。
また、平成29年8月下旬、AはYの母親と電話で話し、Yから保証のことを聞いているという趣旨の回答を得ている。Bが全く勝手に本件借用証書を作成していたのだとしたら、そのような回答は得られない。
以上より、本件借用証書はYが押印したことにより真正に成立し、Yが保証契約を締結した事実が認められる。