平成29(2017)年司法試験予備試験論文再現答案民法

再現答案

以下民法については条数のみを示す。

 

〔設問1〕
第1 虚偽表示
 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とされ(94条1項)、その意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない(94条2項)。これは外観を信じて取引に入った者を保護するという趣旨であるので、相手方と通じてした意思表示でなくても、相手方にこれと同視できるほどの帰責性があれば94条2項を類推適用することができる。
 本件譲渡担保設定契約とそれを原因とする登記は、虚偽の意思表示に基づいてなされている。Bは相手方であるAと通じてはいないが、Aは契約書面を検討したりすることがなかったので帰責性があり、94条を類推適用することができる。Cは善意の第三者であると言えるので、Aは本件登記の無効をCに対抗することができない。
第2 弁済による代位
 債務の弁済は、第三者もすることができる(474条1項本文)。よってCはBのAに対する本件貸金債務を弁済することができる。これがBの意思に反してはいないが、仮に反していたとしても、474条2項の反対解釈により、利害関係を有するCは弁済することができる。
 実際にはAが受領を拒んだので、Cは弁済する代わりに供託をしている(494条)。同条によると、供託の効果は「債務を免れることができる」ことであるが、これは有効な弁済をしたという意味であり、弁済に伴うその他の効果も発生する。
 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する(500条)。Cは、本件登記抹消を請求しているのであり、正当な利益を有する者である。よって上記の弁済によって債権者Bに代位する【原文ママ】。以上より、Cは、本件登記抹消を請求することができる。なお、Bは虚偽表示の当事者であって無効を対抗できないが、先に述べたようにCは第三者なので、この結論でよい。

〔設問2〕
第1 合意解除後のCE間の法律関係
 CD間の賃貸借契約が合意解除されたからといって、CE間の法律関係が自動的に発生するわけではない。契約を締結したのは、それぞれCD、DEである。Cによる承諾は、612条1項の制限を解除するためのものである。
 CE間の法律関係が発生しないとなると、Cは甲建物の所有権に基づきEに明け渡しを請求できそうに見える。しかし、このように賃貸人と転貸人の意思によって転借人が賃貸物を明け渡さなければならないとすると、転借人の地位が極めて不安定になってしまう。そこで、このような場合には、明け渡しを請求することができないとするのが判例の立場である。
 以上より、CのEに対する明け渡し請求は認められない。
第2 相場賃料である月額25万円の賃料支払
 第1で述べたように、CE間に法律関係が発生するわけではないので、Cは、Eに対して、相場賃料である月額25万円の賃料支払を請求することはできない。CとD、DとEが契約したのだから、CはDの責任を追及するしかない。借地借家法32条1項の借賃増減請求の余地もない。
第3 修繕費用30万円の支払
 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる(608条1項)。Eは賃借人である。甲建物は賃借物である。Cが賃貸人であるかどうかは問題となり得る。この規定は、通常はいち早く修繕の必要性などに気づくであろう賃借人に安心して修繕をしてもらう趣旨である。そこでの賃貸人とは修繕の効果が帰属する賃貸物の所有者であると解釈するのが合理的である。よってCは賃貸人である。雨漏りがしていると甲建物の使用及び収益ができないので、その修繕は必要費である。よって、Cは、Eに対し、直ちにその償還を請求することができる。よって修繕費用30万円の支払が認められる。CはDとの間では修繕についてはその費用をDが負担することが合意されていた。しかしDとEとの間では甲建物の修繕に関して明文の条項は定められなかったので、そうなると民法の規定に従うことになる。

以上

 

感想

自分なりには書いたつもりですが、これでよいのか不安です。

 

 




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