伊丹敬之、加護野忠男『ゼミナール 経営学入門』(日本経済新聞社、第3版、2003)演習問題解答例

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第12章 計画とコントロール:プロセスとシステム

1.
 計画と業績評価の連動がなされないと、その計画に真剣に取り組まなくなるおそれがあるので、計画と業績評価とは連動させるべきである。しかし、連動させるとなると、計画を策定する際に容易に達成して高い評価が得られるであろう計画を立てがちであり、また途中で計画や行動が不適切だと判明した場合にも、それを撤回することが難しくなって、企業全体としては不合理になるおそれがあるため、必要と言われつつも、なかなか連動は実際に行われることが少ない。

2.
 予算制度は、最適な計画を立て、その計画の裏付けをして、きめ細かにコントロール役割を果たしている。例えば、HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社では、ERPシステムを用いた予算制度により、生産、在庫、売上などを把握・分析して、少量多品目生産を短納期で行うことを達成した。  このように企業の予算制度は利益概念と密接に結びついているが、官庁の予算制度では利益が観念されず、収入予算と支出予算がそれぞれ組まれることになる。
参考:https://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/hoyacandeo.aspx

3.
 計画とコントロールの順機能は、計画にコミットする人たちがコミュニケーションを深めて情報を共有するとともにモチベーションを高めること、上司→部下→仕事の実行プロセスと影響を及ぼしていくこと、そして業績を評価することである。逆機能は、計画にエネルギーを奪われること、コントロールに対して保守的になったり疑心暗鬼になったりすることである。このトレードオフについてはバランスに配慮するしかないが、計画とコントロールの仕組みや従業員の心理的特性がこれらに影響すると考えられる。

 

作成:浅野直樹
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