浅野直樹の学習日記

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浅野直樹

宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第23章「行政手続に関するその他の問題」

1.行政審判手続(準司法手続)

審判機能と訴追機能の分離

 

2.諮問手続

意義…専門知識の活用、利害調整、民主化など

答申の効果…一般に法的拘束力はない(法的拘束力があるものは参与期間と呼ばれることがある)

諮問手続の瑕疵…取消しの原因としてはともかく、無効ならしめるものとはいえない(最判昭和46.1.22)

 

3.住民参加

意義…三面関係

意見陳述の機会の付与

原案の縦覧

意見書の提出

公聴会等

協定

住民投票

直接請求

住民監査請求・住民訴訟…1人でも利用できる

 

4.行政手続の瑕疵

手続のやり直しが結果に影響を与えるかどうかで判断…最判昭和46.10.28⇔最判昭和50.5.29

結果への影響を考慮することなく取消し(重大な瑕疵)…最判昭和60.1.22など

 

 

 

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第22章「行政手続法」

1.行政手続法の制定

(1) 行政手続の意味

行政作用の事前手続(狭義)

 

(2) 事前手続整備の必要性

執行不停止原則など

 

(3) 行政手続法制定の経緯

1993年に成立

 

2.行政手続法の内容

(1) 全体の構成

1章…総則

2章…申請に対する処分

3章…不利益処分

4章…行政指導

5章…届出

6章…違憲公募手続等

7章…補則

 

(2) 目的

公正の確保と透明性の向上

 

(3) 申請と届出

個別の法律での用法と必ずしも一致しない

 

(4) 申請に対する処分

審査基準…「定めるものとする」、「公にしておかなければならない」、不利益変更は可能であるが配慮が必要

標準処理期間…「定めるよう努める」、「公にしておかなければならない」、経由機関も含む、不作為に関する「相当の期間」とは別

申請に対する審査・応答…「受理」概念の否定、形式的要件に適合しない申請の補正が義務づけられているわけではない

理由の提示…「理由を示さなければならない」(第三者に対する理由の提示義務はない)、記載自体から了知しうる程度

情報の提供

意見聴取の努力義務…公聴会の開催等

複数の行政庁が関与する処分…「殊更に遅延させるようなことをしてはならない」

 

(5) 届出

意義…「受理」という概念の否定

 

(6) 不利益処分

処分基準…「処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。」(処分基準がわかるとぎりぎりまで違反するなどの恐れがあるので義務規定ではない)

意見陳述の機会の保障…聴聞と弁明の機会の付与

聴聞と弁明の機会の付与との違い…参加人についての定め、文書等の閲覧、口頭意見陳述権、聴聞の主宰、異議申立ての制限

 

(7) 意見公募手続

意見公募手続の法定…2005年の行政手続法改正案

意見公募手続の意義

意見公募手続の対象…法律に基づく命令または規則、審査基準、処分基準、行政指導指針

命令等を定める場合の一般原則…法令の趣旨への適合、適正の確保、適用範囲

意見公募手続の仕組み…命令等の案等の公示、意見提出権者(外国人や外国の企業・政府も含まれる)、意見提出期間(30日以上)、適用除外、提出意見の考慮、結果の公示等

 

(8) 地方公共団体に関する適用除外

行政手続法の適用除外であるが、ほぼすべての普通地方公共団体で行政手続条例が制定された

 

3.行政手続のオンライン化

 

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第21章「行政指導」

1.行政指導の長所と短所

長所…臨機応変に行政需要に応じることができる

短所…不透明、救済が困難

 

2.要綱行政

条例制定権の限界のため宅地開発等で要綱行政が広く行われている

 

3.学説・裁判例による行政指導の法理論の発展

(1) 根拠規範の要否

判例は不要であるという前提に立っている

 

(2) 行政指導の限界

法令違反…コンドルデリンジャー事件(東京地判昭和51.8.23)

比例原則違反…下関市立商業事件(最判昭和55.7.10)

行政指導に従ったことに起因する損害賠償請求…最判平成5.2.18など、指導要綱の文言や運営の実態を考慮

 

(3) 許認可等の留保

許認可等の留保の違法性の判断基準…「真摯かつ明確な意思表示」+「社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しないこと」(最判昭和60.7.16ーー品川区マンション事件)

「社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情」…宮崎地判平成7.10.6

「真摯かつ明確な意思表示」…最判昭和56.7.16

 

(4) 行政指導の作為義務

薬害などで条理上肯定されることがある

 

4.行政手続法における行政指導の規定

(1) 意義

行政指導について独立の章

行政指導…行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(2条6号)

 

(2)  実体的規定

不利益取り扱いの禁止

権利行使妨害の禁止

 

(3) 手続的規定

責任者の明確化

文書での交付

行政指導指針の公表

 

5.行政手続条例の規定

独自の工夫をした条例もある

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第20章「行政契約」

1.行政契約の実例

用地の任意買収、備品の購入など

 

2.行政契約の基本原理

当事者の意思の合致により成立するので、法律の根拠を要しないと一般に考えられるが、行政法上の一般原則が適用される

 

3.行政契約の種類

法定行政契約と非法定行政契約

規制的契約と非規制的契約

 

4.行政契約の統制

(1) 行政法の一般原則

契約自由の原則の修正…産業廃棄物処分場に関して契約が法律に違反するとの高裁判決を破棄した事例(最判平成21.7.10)

平等原則

効率性の原則

説明責任の原則

 

(2) 財政民主主義

議決が必要

 

(3) 国が締結する契約の統制

一般競争入札、指名競争入札、随意契約

一般競争入札が原則

 

(4) 地方公共団体が締結する契約の統制

一般競争入札が原則

 

(5) 国・地方公共団体が締結する契約の実態

一般競争入札中心主義からかなり乖離している

 

(6) 国・地方公共団体が締結する契約に対するその他の規制

政府契約の支払い遅延防止

普通財産の貸付

行政財産の貸付

会計法の原則の修正…グリーン購入法など

 

(7) 財務会計上違法な契約の司法統制

国についても、地方公共団体の住民訴訟に相当する納税者訴訟を認めるべきという議論もみられる

 

(8) 行政契約の手続的統制

指名を処分として構成すべきという立法論

予定価格の事前公表

 

5.公共用地の売買契約

(1) 強制権限を背後に控えた契約

譲渡所得の特別控除、移転料等の補償

 

(2) ごね得の防止

公示価格を基準としなければならない(地価公示法9条)

 

6.私的公用収用

 

7.行政主体間の契約

 

8.行政契約の国際化

 

 

 

 



宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第19章「行政行為」

1.意義

行政行為の規律力…行政庁の一方的な行為によって法効果が発生する

取消訴訟の排他的管轄に服する

行政行為≒行政処分

 

2.行政行為の分類

申請に対する処分と不利益処分

二重効果的処分

命令行為・形成行為・確定行為

一般処分

 

3.行政裁量

(1) 意義

行政裁量が認められる根拠…政治的判断、臨機応変な対応など

行政裁量の統制…行政庁の判断を裁判所の判断に優先させる(行政庁自身は当・不当の判断ができる)

 

(2) 行政裁量の認められる判断過程

要件裁量(例:国家公務員の懲戒の要件)

効果裁量(例:懲戒処分の効果…免職、停職、減給、戒告)

時の裁量・手続の裁量

事実認定の裁量(原子力発電所の安全性)

 

(3) 裁量権の限界と司法審査

裁量権の踰越濫用

裁量権行使の前提となる事実の誤認

法律の目的違反、不正な動機

平等原則違反

比例原則違反

裁量の不行使

実体的判断過程統制審査…最高裁判例はない(東京高判昭和48.7.13ーー日光太郎杉事件など)

手続的司法審査

効果裁量と不作為の違法

 

4.行政行為の瑕疵

瑕疵…通常は行政行為が違法であることを意味する

行政行為の瑕疵の分類…内容の瑕疵、主体の瑕疵、手続の瑕疵、判断過程の瑕疵

 

5.行政行為と取消訴訟の排他的管轄

(1) 意義

行政行為の瑕疵は原則として取消訴訟の管轄

 

(2) 取消訴訟の排他的管轄の範囲ないし限界

権原と無関係な許認可

危険施設の設置許可と民事差止訴訟

申請拒否処分と再申請

無効の瑕疵ある行政行為(無効確認訴訟)…重大明白説

国家賠償請求訴訟と取消訴訟…金銭の納付に関しても取消訴訟を経ずに国家賠償請求が可能(最判平成22.6.3)

刑事訴訟と取消訴訟…取消訴訟の排他的管轄は及ばない(最判昭和53.6.16)⇔及ぶ(最決昭和63.10.28)

行政上の義務の民事執行…当事者対等の原則から取消訴訟の排他的管轄が及ばないと考えられる

違法性の承継…(a)土地収用法の事業認定と収用裁決は事業説明会や公聴会が義務づけられたので承継が認められにくくなる可能性あり、(b)安全認定と建築確認は一体性や手続的観点から承継が認められる(最判平成21.12.17)、(c)課税処分と滞納処分に関しては基本的に認められない

形式的当事者訴訟

 

6.取消訴訟の出訴期間

処分または裁決があったことを知った日から6カ月以内

 

7.瑕疵ある行政行為の効力

瑕疵の治癒(最判昭和36.7.14ーー農地買収計画)

違法行為の転換(最判昭和29.7.19)

不可変更力…不服申立てに対する決定、裁決のような紛争を裁断する行政行為

理由の追加・差替え(最判昭和56.7.14ーー不動産の取得価額)

事情裁決、事情決定、事情判決

 

8.行政行為の成立、発効、失効

(1) 行政行為の成立

外部に表示されることが必要(最判昭和57.7.15)

 

(2) 行政行為の発効

到達主義

 

(3) 行政行為の失効

行政行為の取消し…争訟取消しと職権取消し

職権取消しの効果…原則遡及するが、場合によっては遡及させない

二重効果的処分の取消しの効果…利害関係人の権利利益を考慮する必要性

行政行為の撤回…適法になされた行政行為について、その後の情勢の変化に伴い効力を失わせること

撤回の効果…原則遡及しない

撤回の可否…諸般の事情を総合的に考慮して根拠法律が撤回を許容しているかを解釈

撤回権者…当該行政行為を行う権限のある行政庁

撤回と補償…事案に即した検討が必要

 




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