宇賀克也『行政法概説1 行政法総論 第4版』第8章「規制行政における主要な法的仕組み」

1.許可制

「ある種の国民の活動を一般的に禁止したうえで、国民からの申請に基づき審査を行い、一定の要件に合致する場合、禁止を個別具体的に解除する法的仕組み」

警察許可と公益事業許可

基準認証制度…政府認証制度、第三者認証制度、自己適合宣言制度

許可等の有無と民事責任の関係…直結する関係ではない

特許性…国民が一般的には取得しえない特別の能力または権利を設定する行為

 

2.認可制

「法律行為の内容を行政庁が個別に審査し、当該行政庁が効力を発生させる意思表示が法律行為の効力を補充して効力を完成させる仕組み」

具体例…農地売買、公有水面埋立法に基づき造成された土地など

認可された協定が第三者効をもつ場合もある

 

3.許認可等に共通する事項

(1) 期間・期限

期間の満了…実質的には更新制だとされる場合もある

 

(2) 融通性

譲渡・相続・差押等の対象になるかどうかは許認可等の性質に応じて異なる

 

(3) 事前手続

行政手続法の「申請に対する処分」に該当する

 

(4) みなし許認可・みなし拒否

法律により異なる

 

(5) 附款

条件、期限、負担、撤回権の留保(実益はない?)

 

(6) 基準時

処分時点(最判昭和50.4.30)

 

(7) 競願処理

先願主義と比較審査

 

4.届出制

「国民がある行動をとる前または後に、行政機関への届出を義務づける仕組み」

基本的に緩やかな規制だと言えるが、下命制と組み合わせることで厳格な規制になることもある

 

5.下命制・禁止制

定義(広義)…国民に対して一定の行動を命ずる法行為の総称

定義(狭義)…作為を命ずる場合は下命制、不作為を命ずる場合は禁止制

直罰制と行政行為介在制

 

6.行政機関による法令適用事前確認手続(日本版ノーアクションレター制度)

「民間企業等が、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する手続」

 

7.即時強制

「緊急事態など、相手方の義務の存在を前提とせずに、行政機関が直接に身体または財産に実力を行使して行政上望ましい状態を実現する作用」

戦前の行政執行法から大幅に制限されたかたちで警察官職務執行法等へ

条例を根拠規範とすることも可能であると解される

行政手続法の不利益処分に該当しない

 

8.私人の防御的地位

不服申し立て、取消訴訟、損害賠償、損失補償

 

9.規制請求権

第三者に規制請求権が認められている場合がある

 

 




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です